高次脳機能障害とは?|認知症との違いをわかりやすく解説!

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは脳の障害により、言語、記憶、理解、判断、注意、学習、行為、感情などの機能が障害された状態である。具体的に以下のような症状がある。

記憶障害
物の置き場所を忘れたり、新しい出来事を覚えていられなくなったりすること。そのために何度も同じことを繰り返し質問したりする。

注意障害
ぼんやりしていて、何かをするとミスばかりする。2つのことを同時にしようとすると混乱する。

遂行機能障害
自分で計画を立ててものごとを実行することができない。状況に応じた判断ができない。人に指示してもらわないと何もできない。行き当たりばったりの行動をする。

社会的行動障害
すぐ他人を頼る、子どもっぽくなる(依存・退行)。無制限に食べたり、お金を使ったりする(欲求コントロール低下)。すぐ怒ったり笑ったりする、感情を爆発させる(感情コントロール低下)。相手の立場や気持ちを思いやる子ができず、よい人間関係が作れない(対人技能拙劣)。遂行機能障害がある場合、認知あるいは行動の転換の障害が生じ、従前の行動が再び出現(保続)し、その方法に固着する。など

半側空間無視
片麻痺などがある場合、患側の空間を無視する半側空間無視がある。患側の注意を欠くために壁や物にぶつかるので、声をかけて注意を促すことが必要である。ブレーキのかけ忘れなど注意力が欠けるため、安全面に配慮が必要となる。

 

■2001(平成13)年から開始された高次脳機能障害支援モデル事業によって、脳損傷者に共通する症状が明らかにされ、行政的な診断基準が作成されている。また、高次脳機能障害は、精神障害者保健福祉手帳の対象となることが明確にされた。

 

 高次脳機能障害の診断基準

高次脳機能障害支援モデル事業で作成された診断基準は以下のように定義されている。
①脳損傷の原因には、事故による受傷や疾病の発症の事実があること
②日常生活や社会生活に制約があって、その主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害であること
③検査あるいは診断書により脳の器質的な損傷が確認できること。
先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障害進行性疾患(認知症など)による脳損傷を除外すること など
※周産期:妊娠22週から出生後7日未満までの期間をいい、合併症妊娠や分娩時の新生児仮死など、母体・胎児や新生児の生命に関わる事態が発生する可能性が高くなる期間

 

 高次脳機能障害の原因

高次脳機能障害の最も多い原因は脳血管疾患で、脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れる「脳出血」、血管にできた動脈瘤(りゅう)が破裂する「くも膜下出血」などがある。
次に多いのが、外傷性脳損傷です。交通事故のほか、スポーツ事故、転倒・転落でも、高次脳機能障害が起こる事がある。そのほか低酸素脳症脳腫瘍脳炎なども原因になる。
脳性まひ発達障害うつ病統合失調症アルツハイマー病パーキンソン病などの病気が原因で、高次脳機能障害の症状が見られることもあるが、高次脳機能障害と診断され治療を受けることができるのは、脳卒中や外傷性脳損傷など、症状が進行しない病気が原因の場合に限定されている。

 

 職場適応援助者(ジョブコーチ)

職場適応援助者(ジョブコーチ)とは障害のある人が一般就労をする際に、職場に出向き、障害のある人が自立的に仕事ができるように支援する者である。高次脳機能障害のある人が、地域の就労の場で適応して自立的に行動ができるようになるためには、現場で本人を支援するだけでなく、周囲の人たちにも対応方法をアドバイスする必要がある。雇用主に対して障害の理解や対応方法を指導するなどして支援環境を整える役割を果たす。

 

 高次脳機能障害のある人への支援の留意点

・直接的な支援(食事、移動介助など)よりは、間接的な見守りや声かけが中心となる。

・支援者が決めたり、直接指示したりするのではなく、本人の使えるヒントを本人自身がからだで覚えられるように促し、行動の定着を支援する。

・かかわる支援者が同じ指示を出し、同じようなパターンで進めることが、本人の混乱を防ぎ、行動の確実な定着を促すことにつながる。支援者が個々にに支援方法をアレンジしてはいけない。

・記憶や注意の障害があるので、説明は短く、簡潔にする。メモを書いて渡すとよい。

・時間が経過すると忘れてしまったり、記憶がゆがんでしまったりするので、すぐに対応する。

・説教をしたり、プライドを傷つけるような言い方をせず、相手を認める声かけをする。

・退行してなれなれしくなっている場合は、支援者のほうが距離をとる。

 

高次脳機能障害に関する過去問

■高次脳機能障害の原因疾患として、正しいものを1つ選びなさい。(第27回本試験)

1.ダウン症候群
2.アルツハイマー型認知症
3.自閉症スペクトラム障害
4.統合失調症
5.脳炎

解答と解説
答え 5

高次脳機能障害支援モデル事業で作成された診断基準より
先天性疾患、発達障害は除外されるので、1,3は× 
脳性まひ発達障害うつ病統合失調症アルツハイマー病パーキンソン病などの病気が原因で、高次脳機能障害の症状が見られることもあるが、高次脳機能障害と診断され治療を受けることができるのは、脳卒中や外傷性脳損傷など、症状が進行しない病気が原因の場合に限定されているので、
2,4も×

 

■ダウン症候群の症状として、最も頻度の高いものを1つ選びなさい。(第28回本試験)
1.難聴
2.筋緊張の亢進
3.高次脳機能障害
4.片麻痺
5.腎障害

解答と解説
答え 1
2.ダウン症候群では、筋緊張が弱く、乳児期はとても体が柔らかいことが特徴的である。

3.高次脳機能障害は脳の損傷が原因で生じる症状であり、先天性疾患は除外される。

4.片麻痺は脳出血などにより脳細胞が壊死することにより生じる。

5.ダウン症候群では心臓の異常が難聴とともに頻度の高い症状である。腎臓の機能異常に伴う腎障害は頻度が高くない。

 

■高次脳機能障害の注意障害に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第28回本試験)
1.同時に2つ以上のことに気配りできない。
2.突然興奮したり、怒りだしたりする。
3.日常生活を計画して実行できない。
4.物の置き場所を忘れる。
5.1つのことにこだわって他のことができない。

解答と解説
答え 1
~高次脳機能障害の症状~
記憶障害

物の置き場所を忘れたり、新しい出来事を覚えていられなくなったりすること。そのために何度も同じことを繰り返し質問したりする。選択肢の中では4が該当する。
注意障害
ぼんやりしていて、何かをするとミスばかりする。2つのことを同時にしようとすると混乱する。選択肢の中では1が該当する
遂行機能障害
自分で計画を立ててものごとを実行することができない。状況に応じた判断ができない。人に指示してもらわないと何もできない。行き当たりばったりの行動をする。選択肢の中では3が該当する
社会的行動障害
すぐ他人を頼る、子どもっぽくなる(依存・退行)。無制限に食べたり、お金を使ったりする(欲求コントロール低下)。すぐ怒ったり笑ったりする、感情を爆発させる(感情コントロール低下)。相手の立場や気持ちを思いやる子ができず、よい人間関係が作れない(対人技能拙劣)。遂行機能障害がある場合、認知あるいは行動の転換の障害が生じ、従前の行動が再び出現(保続)し、その方法に固着する。など選択肢の中では5が該当する

 

■高次脳機能障害(higher brain dysfunction) の主な症状の1つである社会的行動障害に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。(第30回本試験)

1.自分で計画を立てて物事を実行することができない。
2.2つのことを同時にしようとして混乱する。
3.新しいことを覚えられなくて何度も人に聞く。
4.ちょっとしたことで感情を爆発させる。
5.人に指示をしてもらわないと動けない。

解答と解説
答え 4

1.遂行機能障害である。

2.注意障害である。

3.記憶障害である。

5.遂行機能障害である。

 

 

 

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