★科目「障害の理解」には障害福祉の歴史や法律なども含まれるが、勉強する労力の割に得点に結びつきにくいため、ここでは割愛し、医学的側面のみに焦点をあてる。ただし、障害者総合支援法などほぼ毎年設問や選択肢に登場するものは「社会の理解」のテキストで解説している。

 

 

1.身体障害

 

◆視覚障害の種類と原因と特性

 

画像引用:https://www.amano-ganka.jp/know_illness/

白内障
白内障は、水晶体が白く混濁している状態にあるもので、目のかすみの症状がある。手術により視力の改善が期待できる。
先天性白内障の人の場合は、手術後、眼鏡またはコンタクトレンズによって屈折異常を矯正し、視距離に応じた眼鏡等の資格補助具を用いることが大切である。

緑内障
眼球は、一定の眼内の圧力(眼圧)によって維持されているが、緑内障は何らかの原因によって眼圧が上昇する疾患である。また、突発性緑内障は、完全に失明する危険性がある。
近年では、眼圧が正常な範囲であっても、視神経の萎縮が進行して、緑内障と同じように視野狭窄が出現する正常眼圧緑内障も増加している。

 

■網膜色素変性症
網膜色素変性症は、網膜視細胞変性を特徴とし、夜盲(明るい所では目が見えるのに、薄暗い所では見えなくなる症状)や視野狭窄などの症状がみられる。中心の視野が残ることもあるが、完全に失明してしまう場合もある。

 

視神経萎縮
先天性で出生の直後から視力が低下している場合や、頭部外傷、脳腫瘍などによるものがある。視神経萎縮は、中心暗転(※)があり、中心部が見えないことで読書や細かい作業が不自由になる。また、薄暗く見えて、色の区別がはっきりしなくなるので、支援の際には色に配慮することが大切である。

中心暗転:視野障害の1つで、中心窩に視野の異常がみられ、中心視力が低下すること。

 

糖尿病性網膜症
糖尿病性網膜症は、網膜の血管に異常をきたし、視力の低下を引き起こすものである。これは糖尿病の合併症の1つであり、網膜出血がその特徴としてあげられる。

 

ベーチェット病
原因不明で指定難病となっている。ぶどう膜炎(※)を頻繁に起こし、口内炎、陰部潰瘍などの主症状がある。また、網膜の出血や浮腫が現れると、網膜剥離を引き起こして失明することがある。発作が起こると視力が低下するので、発作時には眼科医と相談して支援を勧める必要がある。

ぶどう膜炎: 目の中に存在する3つの組織(虹彩・毛様体・脈絡膜)の総称をぶどう膜といいます。 これらの組織に炎症が生じるとぶどう膜炎が起こり、徐々に目の中全体に炎症が広がっていきます。 発症すると、目の痛みや視力障害があらわれます

 

中途視覚障害者
中途視覚障害者は、視覚に頼った生活の経験があるために、障害を受けたときのショックは大きく心理的安定を図ることが必要である。支援においては、視覚障害のある人が心理的プロセスのどの段階にあるのかを把握する必要がある。

中途視覚障害者の心理的プロセス

【失明恐怖の時期】
眼の症状が治るかどうか、このまま失明するのではないかなど失明に対する恐怖を抱き、漠然と生活への不安をもっている。

【葛藤の時期】
将来の生活設計に見通しを立てられず、失明による精神的な打撃が最も強い時期。失明直後でもあり、視覚障害という衝撃から自分を守ろうとし、感情の表出がなくなって、自分を取り巻く周囲の刺激から逃れようとする。

【生活適応の時期】
見えないという現実を直視し、生きる意欲を見出そうとする時期。生活訓練などにより視覚以外の残存感覚機能を最大限に活用し、新たな行動様式を学習することで、多くの行動能力を獲得する。

【職業決定の時期】
視覚障害のある人の職業の実態を知り、経済的に安定した生活を取り戻せるのかどうか不安を抱いている。

【職業獲得の時期】
職業に付いてから、現実のさまざまな困難を克服し、自分の経済的な基盤を確保する。

 

先天性視覚障害児・者
先天性視覚障害児・者は、視覚による情報収集が困難なために、限られた情報や経験の範囲内で概念を形成する場合がある。特に実体や具体的経験を伴わないまま、言葉による説明だけで事物・事象や動作をとらえてしてしまうことがあり、これをバーバリズム(唯言語主義)と言う。
先天性視覚障害児によくみられ、指を自分の眼に押し当てたり、口に入れたり、頭や身体をゆすったりする特徴的な行動をブラインディズムという。外界からの刺激が少ないために、周りの状況の変化がつかめず不安となるためとられる自己刺激行動と解されている。

 

 

◆聴覚障害の種類と原因と特性

 

聴覚障害では、ほとんど聞こえない状態をろう、少し聴こえる状態を難聴という。

聴覚障害者の分類

・難聴者
難聴者は、補聴器等を用いることによって話し言葉が少し聞こえ、言葉でのコミュニケーションが可能な人である。また、言葉も比較的明瞭で、静かな明るい場所であれば1対1の会話は比較的可能である。

中途失聴者
中途失聴者は、人生の途中で耳が聞こえなくなった人で、話し言葉は明瞭だが、ほとんど聞こえない場合がある。また、中途失聴者は時間が経つと発音の明瞭度が低下することが多く、コミュニケーション状況から孤立しやすい手話・指文字・筆談・ジェスチャー・絵など、その人のコミュニケーション能力に合わせた情報提供が行われれば、コミュニケーションが成り立つことを体験的にわかってもらうことが必要である。

ろう者
ろう者は、話し言葉が不明瞭であることが多いため、手話によるコミュニケーションが中心である。

 

難聴の分類
聴覚障害は、損傷の部位によって、伝音性難聴感音性難聴混合性難聴に分けられる。近年、医学の進歩によって、伝音声難聴は治療が進み、現在の難聴のほとんどは、感音性難聴や混合性難聴によるものである。


伝音性難聴
外耳および中耳(伝音機構)の障害によって聞こえが悪くなる。伝音声難聴を引き起こす疾患には滲出性中耳炎、慢性中耳炎のほかに先天性の外耳、中耳の形態異常などがある。感音性難聴よりも伝音性難聴のほうが、補聴器の使用による効果は高い

感音性難聴
内耳から大脳皮質(感音機構)までの障害によって聴力が低下する。音がひずんで聞こえ言葉がはっきりしないことが多い。補聴器を使用しても言葉を判別することは難しい。大きな音はうるさく感じるが、小さな音はあまり聞こえないことがある。老人性難聴(加齢性難聴)は、感音性難聴であることが多く、高音が聞き取りにくい。

混合性難聴
伝音性難聴と感音性難聴が合併して起きたケースで、聞こえの状態も両方の難聴の特徴を持っている。中程度の感音性難聴と伝音性難聴が合併すると、高度の難聴レベルになる。

 

言語機能障害(構音障害と失語症)
「コミュニケーション技術」で詳説

 

◆内部障害の種類と原因と特性

 

心臓機能障害
心臓機能障害の原因となる疾患には、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、心不全等がある。

 

虚血性心疾患
心筋に血液(酸素)を供給している冠状動脈の血流量が何らかの原因によって減少し、その結果、相対的または絶対的に酸素供給が低下し、心筋の酸素需要を充足できないために起こる病態である。
虚血性心疾患には、虚血時間が短く、器質的心筋障害を残さずに回復する狭心症と、虚血時間が長く、心筋壊死を起こして不可逆的な障害を残す心筋梗塞がある。

 

狭心症
狭心症には、身体的労作や精神的緊張によって心筋酸素消費量が増加した時に狭心発作が起こる労作(性)狭心症、睡眠中や安静時に狭心発作が起こる安静(時)狭心症、その両者の出現様式を示す労作(性)兼安静(時)狭心症がある。
新規に発症した狭心症や狭心発作が増悪するタイプを不安定狭心症と呼び、急性心筋梗塞に移行しやすいので注意が必要である。また、不安定狭心症と急性心筋梗塞を併せて、急性冠症候群と呼ぶ。
狭心症は、冬の寒い時には、軽度の労作でも狭心発作が誘発されやすいなどの特徴がある。重症になると軽い労作で発作が出現し、安静時にも発作が起こるようになり、発作の持続時間も長くなり、胸痛の程度も強くなる

 

心不全
心臓の機能が低下し、血液を十分に送り出したりうまく取り入れられなくなった状態。症状には動悸息切れ呼吸困難浮腫みなどがある。心不全を含む心疾患の対策として生活習慣、食生活を見直すことが必要である。

 

心臓ペースメーカー
心臓ペースメーカーは人工的に電気刺激を与え、心臓を一定のリズムで拍動させるための装置である。心臓の病気そのものを治すものではないが、激しい運動をしない限り、普通の生活を送ることができる。
心臓ペースメーカー使用者の日常生活の介護においては、利用者が生命の危機と将来に対する不安をもっていることに留意する。脈の管理、腎臓、呼吸器について理解が必要であり、また水分・運動量、食事など医学的管理が必要なので、医師による運動処方に基づいて援助する。
心臓ペースメーカー装着中は、空港で金属探知機を身体に近づけると強力な電磁波等で影響を受けることがある。そのため使用者は、あらかじめ申し出ることが必要である。また、使用者の近くでの携帯電話の使用は避ける。変電所高圧電線に近づかないことも大切である。

 

心臓機能障害のある人の入浴
心臓に負担がかからないように入浴時は温度はぬるめ(37~39℃)にし、水位は心臓よりも低くする。

 

腎機能障害
腎機能障害は何らかの原因によって腎臓がその機能を喪失し、生体の恒常性を維持できない状態である。急速に生じた場合を急性腎不全という。また、数か月ないし数年かけて持続性の機能不全に陥ったものを慢性腎不全という。
腎機能の低下を表す指標として、糸球体ろ過値がある。糸球体ろ過値(GFR)は腎臓の中の糸球体が一分間にろ過している血液の量で、糸球体ろ過値が正常な人の30%以下になった時に、慢性腎不全と診断される。15%にまで低下すると生命の維持ができなくなり、末期腎不全の治療として透析療法腎移植の対象となる。

 

人工透析
人工透析には、人工膜を利用する血液透析と腹膜を利用し内部環境を正常化する腹膜透析がある。

 

血液透析
全身の血液を体の外に出し、機械(透析器)の中で血液をろ過して、きれいな血液を体に戻す方法である。ほとんどの場合、腎臓専門医のいる施設で行うため、定期検査や合併症の治療を同時に受けられる。週2~3回の定期的な通院が必要で、いったん治療を始めると途中で中止することはできない。透析生活は、長期間で生涯に及ぶため、治療についての正しい知識が必要である。
画像引用:https://jin-lib.jp/dialysis/hd.html

 

腹膜透析
お腹の中に透析液を一定時間入れておくと血液中の余分な水分や老廃物が腹膜を介して透析液に移行する。その透析液を一日数回交換して、血液をきれいにする方法が腹膜透析である。月に1~2回の通院でよいため、通院の困難な人が選択する場合がある。在宅での治療のため、家族の協力は不可欠である。
画像引用  http://www.shirasagi-hp.or.jp/dialysis/pd.html

 

■消化器系ストーマ
消化器系ストーマとは、直腸がんや大腸がん等の手術で腸の一部分を切除することによって便を体外に排泄できなくなった場合の、便の排泄のためにつくられた人工肛門のことである。は、その造設された位置によって便の性状と排泄回数がことなる。

回腸ストーマの場合、消化の悪いナッツ類、きのこ類、海藻類でストーマが塞がれることがあるので注意する。イモ類、ビールはガスが発生しやすくなる。
消化器系ストーマのパウチ(袋)には皮膚保護剤がついているものもあるが、皮膚炎を起こしやすい。装着時に少し空気に触れさせ、乾燥させてから装着する。

 

尿路ストーマ
「尿を溜める機能を持たずに尿を体外へ出す」というやり方である。
お腹にストーマ(尿の出口)を作り、専用の装具(尿を貯めるビニール)を常に皮膚に装着しておく必要があります。
画像引用 https://yuji-motomura.sakura.ne.jp/boukoku20170830/

尿は常に出ており、尿路感染症を防ぐためにも入浴の際には装具をつける必要がある(シャワーのときは必要ない)。

 

膀胱留置カテーテル法
膀胱にたまった尿が排出できないような場合は、膀胱内からカテーテルを使用して尿を排出する膀胱留置カテーテル法を用いる。尿道を経由する尿道留置カテーテル法では、尿路感染や結石、尿道裂傷などの合併症がある。発熱や尿混濁などがあれば医療職に連絡する。

 

ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害
ヒト免疫不全ウイルスは、HIVと略されるのが一般的である。HIVが増殖すると、身体の免疫機能を維持することが難しくなる。免疫力は徐々に低下し、通常はとるに足らないような弱い菌やウイルスなどが活性化して感染症(日和見感染症が起こることがあある。
エイズ(AIDS)は、後天性免疫不全症候群という病気の略称である。HIVに感染して免疫機能が低下し、厚生労働省が定めた23の合併症(日和見感染症)のいずれかを発症した場合、エイズと診断される。このように、HIVの感染とエイズは異なることに注意する。
エイズの感染経路は、性行為輸血血液や血液製剤、母乳、臓器移植などがある。
HIV感染者の介護で最も気を付けるべき点は、感染防御であるが、ふだんから感染対策の基盤となるスタンダート・プリコーション(標準予防策)を採用していれば、HIV感染者のケアをむやみに恐れる必要は全くない。具体的には、手洗いをきちんと行うということ、血液、体液、分泌液、汚染物を触るときには手袋を装着するなどである。

 

肝臓機能障害
肝臓機能障害の原因には、C型肝炎、B型肝炎、アルコール性、自己免疫性、薬剤性などがある。肝硬変の原因は、C型肝炎が約70%、B型肝炎が役20%となっている。これらはC型肝炎ウイルス・B型肝炎ウイルスが血液・体液を介して感染することで起こる。
C型肝炎ウイルスの感染経路は、輸血、血液製剤、透析、針刺し事故、刺青、針治療などが考えられる。
C型肝炎ウイルスの感染の多くは、無症状で経過(不顕性感染)し、健康診断などで初めて肝機能の異常を指摘される。慢性肝炎が20年程度経て、肝硬変になることもある。

 

リンパ浮腫

リンパ浮腫は、リンパ節の切除、リンパ管の閉塞などの原因でリンパ液の流れが悪くなり、リンパ管内や体の組織にたまり、むくみが生じたものをいいます。
上肢リンパ浮腫は、乳がん手術で、リンパ節切除や放射線治療を行った側の腕にみられることが多い。
一度、発症すると完治はしにくいため、日常生活では以下の注意が必要である。

  • 皮膚を傷つけない
  • 体をしめつけない
  • お風呂などで、血流を良くし過ぎない
  • 負担をかけない
  • 体重管理を行う

 

 

脊髄損傷
いわゆる背骨は体を支える柱の役目をしている。専門的には脊柱脊椎と呼ばれれ。部位によって頸椎胸椎腰椎仙椎と名称が変わる(下図)
脊椎の中には脊髄と呼ばれる筋肉や感覚を司る神経が通っており、これも同じように頚髄胸髄腰髄仙髄と名称を変える。
画像引用 http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/OPLL/01_ch1_OPLL_GB.pdf

脊髄の両側に対になって出ている神経が脊髄神経である。脊髄神経頸神経8対(C₁~C₈)、胸神経12対(T₁~T₁₂)、腰神経5対(L₁~L₅)、仙骨神経5対(S₁~S₅)、尾骨神経1対(C₀)の31対からなる。
この各々の脊髄神経が下図のように体の各部の動きを担当している。
画像因用 https://www.kango-roo.com/sn/k/view/3357
上図の担当部位まで細かく覚える必要はない。イメージしやすいように載せただけなので参考までに。

脊髄が損傷されると、その障害された部位より下へ脳からの指令が伝わらなくなり、また下からの信号が脳へ伝わらなくなってしまう。例えば足の動きを司るのは主に腰神経5対であるが、それより上部の頸神経C₆や胸神経T₁が障害されると足も動かせなくなる。

頚髄(C₁~C₈)が損傷することを頚髄損傷という。たとえば、第3頸髄(C3)損傷とは、C4以下の神経が障害されていることを意味する。C4以下には大脳皮質からの運動指令が伝わらないために四肢麻痺となり、加えてC4で支配されている横隔膜が麻痺するために人工呼吸器が必要になる。C4損傷(C5以下の神経が障害される)では、四肢麻痺は同様であるが、横隔膜は機能するため、自発呼吸が可能になる。

もう一つ例をあげると、第6頚髄損傷(C₇以下の神経が障害される)では、第6頚髄(C₆)の機能が残っているので、肩・肘を曲げること、手首を背屈することが可能である。環境を整えれば、食事・整容・行為・電動車いすの駆動など身の回りのことが可能になる可能性がある。

このように、損傷部位が頭に近いほど、障害の範囲が大きくなる。

参考)細かく覚える必要はないが、参考までに脊髄損傷患者の生活自立度を引用しておく。
引用 https://www.kango-roo.com/sn/k/view/3357

 

◆精神障害の種類と原因の特性

 

■精神障害の原因には、原因不明(素質や遺伝など)の内因統合失調症気分障害など)、脳器質因や身体因などの外因、性格や環境からのストレスなどの心因神経症心因反応など)がある。

 

統合失調症青年期に多く発症する原因不明の疾患で、健康なときにはなかった状態があらわれる陽性症状と、健康なときにはあったものが失われる陰性症状がある。幻覚妄想等は陽性症状感情の平板化、意欲の欠如等は陰性症状である。薬物療法、精神療法、生活療法が中心となる。

 

うつ病
うつ病は、気分が沈み、行動や動作が緩慢になり、食欲低下や不眠や頭痛など身体症状も現れて、日常生活が立ち行かなくなる。不安悲観的感情自責感自殺念慮が生じる。
うつ病に関する留意事項は次のようなものがある。①励ましたり元気づけたりすると、かえって症状を悪化させてしまう場合がある。②医師による専門的な治療を受ける必要がある。③うつ病と認知症は症状が似ているため、鑑別は容易ではない。

 

■精神疾患は、青年期から成人期の人生の途上で発病する場合が多い。就学、就職、結婚などの社会生活経験を積む機会を逃し、社会生活の技術不足とそれに由来する自分への評価が低くなる傾向にある。社会的な偏見がある障害を負ってしまったという挫折感から、障害のある自己に対する否定的な気持ちを持ち続けることもある。
精神障害の治療としては、薬物療法や精神療法とともに生活療法を行う。生活療法とは、患者の日常生活の調整、指導、訓練を行い症状の改善を図ることで、社会への参加を促す療法のことである。

 

 

◆高次脳機能障害の種類と原因の特性

 

 

■高次脳機能障害
高次脳機能障害は脳の障害により、言語、記憶、理解、判断、注意、学習、行為、感情などの機能が障害された状態である。具体的に以下のような症状がある。

記憶障害
物の置き場所を忘れたり、新しい出来事を覚えていられなくなったりすること。そのために何度も同じことを繰り返し質問したりする。

注意障害
ぼんやりしていて、何かをするとミスばかりする。2つのことを同時にしようとすると混乱する。

遂行機能障害
自分で計画を立ててものごとを実行することができない。状況に応じた判断ができない。人に指示してもらわないと何もできない。行き当たりばったりの行動をする。

社会的行動障害
すぐ他人を頼る、子どもっぽくなる(依存・退行)。無制限に食べたり、お金を使ったりする(欲求コントロール低下)。すぐ怒ったり笑ったりする、感情を爆発させる(感情コントロール低下)。相手の立場や気持ちを思いやる子ができず、よい人間関係が作れない(対人技能拙劣)。遂行機能障害がある場合、認知あるいは行動の転換の障害が生じ、従前の行動が再び出現(保続)し、その方法に固着する。など

半側空間無視
片麻痺などがある場合、患側の空間を無視する半側空間無視がある。患側の注意を欠くために壁や物にぶつかるので、声をかけて注意を促すことが必要である。ブレーキのかけ忘れなど注意力が欠けるため、安全面に配慮が必要となる。

 

■2001(平成13)年から開始された高次脳機能障害支援モデル事業によって、脳損傷者に共通する症状が明らかにされ、行政的な診断基準が作成されている。また、高次脳機能障害は、精神障害者保健福祉手帳の対象となることが明確にされた。

 

高次脳機能障害の診断基準
高次脳機能障害支援モデル事業で作成された診断基準は以下のように定義されている。
①脳損傷の原因には、事故による受傷や疾病の発症の事実があること
②日常生活や社会生活に制約があって、その主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害であること
③検査あるいは診断書により脳の器質的な損傷が確認できること。
先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障害進行性疾患による脳損傷を除外すること など
※周産期:妊娠22週から出生後7日未満までの期間をいい、合併症妊娠や分娩時の新生児仮死など、母体・胎児や新生児の生命に関わる事態が発生する可能性が高くなる期間

 

高次脳機能障害の原因
高次脳機能障害の最も多い原因は脳血管疾患で、脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れる「脳出血」、血管にできた動脈瘤(りゅう)が破裂する「くも膜下出血」などがある。
次に多いのが、外傷性脳損傷です。交通事故のほか、スポーツ事故、転倒・転落でも、高次脳機能障害が起こる事がある。そのほか低酸素脳症脳腫瘍脳炎なども原因になる。
脳性まひ発達障害うつ病統合失調症アルツハイマー病パーキンソン病などの病気が原因で、高次脳機能障害の症状が見られることもあるが、高次脳機能障害と診断され治療を受けることができるのは、脳卒中や外傷性脳損傷など、症状が進行しない病気が原因の場合に限定されている。

 

職場適応援助者(ジョブコーチ)
職場適応援助者(ジョブコーチ)とは障害のある人が一般就労をする際に、職場に出向き、障害のある人が自立的に仕事ができるように支援する者である。高次脳機能障害のある人が、地域の就労の場で適応して自立的に行動ができるようになるためには、現場で本人を支援するだけでなく、周囲の人たちにも対応方法をアドバイスする必要がある。雇用主に対して障害の理解や対応方法を指導するなどして支援環境を整える役割を果たす。

 

高次脳機能障害のある人への支援の留意点

・直接的な支援(食事、移動介助など)よりは、間接的な見守りや声かけが中心となる。

・支援者が決めたり、直接指示したりするのではなく、本人の使えるヒントを本人自身がからだで覚えられるように促し、行動の定着を支援する。

・かかわる支援者が同じ指示を出し、同じようなパターンで進めることが、本人の混乱を防ぎ、行動の確実な定着を促すことにつながる。支援者が個々にに支援方法をアレンジしてはいけない。

・記憶や注意の障害があるので、説明は短く、簡潔にする。メモを書いて渡すとよい。

・時間が経過すると忘れてしまったり、記憶がゆがんでしまったりするので、すぐに対応する。

・説教をしたり、プライドを傷つけるような言い方をせず、相手を認める声かけをする。

・退行してなれなれしくなっている場合は、支援者のほうが距離をとる。

 

 

◆知的障害

 

知的障害とは、18歳までの発達期に生じる知的発達の遅れにより、社会生活に適応する能力に制限がある状態のことである。

知的障害の判断基準

知的障害は、知的能力の発達の程度と、適応能力の状態の両方を見て判断される。
知的能力とは知的活動を行うために必要な能力のことで、読み書きや計算を行ったり、物事を理解し、考え、判断する思考能力のことである。一方、適応能力とは社会生活に適応する能力のことで、集団のルールを守ったり、集団の中での自分の役割を果たしたり、他人と良好な関係を築くなどの能力を指す。
知的能力は、知能検査によって測られます。知能検査は、知能の発達の程度を示す数値である「知能指数(IQ)」によって表され、IQ70以下だと知的障害に該当する可能性がある。
しかし、知的能力が低いだけでは知的障害とは判断されない。同時に、適応能力にも制限がある状態であり、かつ、これらの症状が発達期に現れているという、3つの条件が揃った場合に知的障害である可能性が考えられます。
なお、18歳を過ぎてから起こった知的能力や適応能力の低下は、知的障害とは判断されません。
 
 
ダウン症候群
染色体異常によって起こり、通常、21番目の染色体が1本多くなっていることから「21トリソミー」とも呼ばれる。ダウン症の特性として、筋肉の緊張度が低く、多くの場合、知的障害がある。発達の道筋は通常の場合とほぼ同じであるが、全体的にゆっくり発達する。難聴先天性の心疾患などを伴うことも多いが、医療や療育、教育が進み、最近ではほとんどの人が普通に学校生活や社会生活を送っている。
 
 
知的障害者の介護の留意点

・一人の人間として地域社会でさまざまな人との関係を持つことができるように支援する。

・知的障害者が自立した生活が送れるように知的障害者との関係を深めながら、自立支援の援助を行う。

・知的障害者は学習に時間がかかるため、動作を理解させるときには順序を追ってともに行動したり、繰り返し分かりやすい言葉で説明する。身振りなどを使うことも有効である。

・さまざまな経験を積み重ね、失敗しても受け入れられる環境をつくる。

 
 
■知的障害者のライフステージに応じた支援

【乳児期】
・本人への療育をはじめとする家族支援
・早期療育による言葉や運動および感覚機能などの発達促進の支援
・親や身近な人との愛着形成への支援
・親の療育の仕方や障害受容を支援

【幼児期・児童期】
・早期療育による言葉や運動および感覚機能、社会性などの発達促進支援
・親の療育に関する支援
・障害や疾病のほか、心身の発達や健康などに関する相談支援
・治療施設への通園に関する親への支援
・身体的な成長と精神的な成長のアンバランスに配慮する。

【青年期・成人期】
・将来の就職を考えた自立プログラムを提供する。
・労働および生涯学習や余暇活動を通しての自立社会参加の実現に関する支援
・家庭生活への支援

【壮年期・老年期】
親と死別後の生活への適応に関する支援
・健康管理に関する支援
・金銭や財産に関する支援

 
 
 
◆発達障害
 
 
発達障害脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するものである。発達障害は一人ひとり症状や特性が異なり、様々な特性を併せ持っている人もるが、大きく分けて以下の3つのタイプに分類される。
画像引用:https://junior.litalico.jp/about/hattatsu/
 
自閉症スペクトラム障害

自閉症スペクトラム障害は、発達初期から症状が現れる。知的障害とは区別され、自閉症スペクトラム障害知的障害併存することがある。
アスペルガー症候群、高機能自閉症、広汎性発達障害自閉症スペクトラム障害の中に包括される障害である。

【アスペルガー症候群・高機能自閉症】

アスペルガー症候群は、自閉症スペクトラム障害の中でも、言葉や知的の遅れがない(IQ70以上)障害である。
特徴としては、遠まわしな表現や比喩を使った表現、表情やしぐさから相手の感情を読み取ることに困難さがあるため、自分の話ばかりしてしまったり、相手が傷つく言葉を悪気なく伝えてしまったりするなどの困りごとがあるといわれている。
その他にも、一度決まったルーティンが崩れたり、新しい環境へ適応が必要になったりするなど変化に対する抵抗が強くあるともいわれている。予定に変更がある場合などは、メモ等を使って予告することが必要である。
なお、高機能自閉症は、アスペルガー症候群同様知的な遅れ(IQ70以上)はないが、言葉の遅れが見られる。

自閉症スペクトラム障害の「スペクトラム」とは、「連続体」という意味である。つまり、アスペルガー症候群高機能自閉症も連続性の中にあり、どの特徴・特性が「濃く」表れるかは、一人ひとり異なり、その子がいる環境によっても異なる。そのため、一人ひとりがどの環境でどのような困りごとを持っているかを明らかにしていくことが大切である。

【広汎性発達障害】
広汎性発達障害とは、対人関係の困難パターン化した行動や強いこだわりの症状がみられる障害の総称である。
これまでは、「対人関係の障害」「コミュニケーションの障害」「こだわり、興味のかたより」の3つの基準をもって広汎性発達障害と診断がなされていたが、2013年に改訂され、広汎性発達障害の分類がなくなり、自閉症スペクトラム障害という診断名に包括された。
また、診断基準も「対人関係、コミュニケーションの障害」「こだわり、興味のかたより」の2つでの診断になっている。

 
自閉症スペクトラム障害に見られる行動リスト
・相手の反応や状況を察することが難しい。表情や声のトーンなどから、相手の気持ち、感情を読み取ることが難しい。

発言が一方的。交互に話すことができず、自分の関心のある話をし続ける。

言葉の裏の意味や曖昧な表現がわからない。皮肉を言われてもわからない。「最近どう?」と言われたときに何を聞かれているか分からない。

同じ動作を繰り返す。体を揺らす、クルクル回るなど。また、ルールに対して柔軟に対応するのではなく、厳密に守ろうとする。

 
 
 
学習障害(LD)
学習障害知的な発達に遅れはないにも関わらず、読み書き計算などある特定の課題の習得だけが、他に比べてうまくいかない状態を指している。目安としては、学校での学習到達度に遅れが1~2学年相当あるのが一般的である。
読字障害は、文字が読めないのではなく、文章を読むのが極端に遅く、読み間違えることがよくある。書字障害は文字を書いたり文章を綴ったりするのが難しい。読字障害があると書字障害も伴いやすい。算数障害は計算や推論することが難しい。
学習障害は、本格的な学習に入る小学生頃まで判断が難しい障害である。特定の分野でできないことを除けば発達の遅れは見られないため、「がんばればできる」「努力が足りない」「勉強不足」と見過ごされることが多い。支援の必要性が認知されにくく、結果的に子どもの自信の低下につながりやすいので、注意が必要である。
 
■注意欠陥多動性障害(ADHD)
ADHDは、注意欠陥・多動性障害とも呼ばれ、不注意(集中力がない)多動性(じっとしていられない)衝動性(思いつくと行動してしまう)といった症状が見られる障害である。
ADHDのあるお子さまは、その特性により授業中、集中することが難しかったり、忘れ物が多いなどがあり、叱られることが多くなりがちである。叱られることが増えていくと、自信を失い、追い詰められてしまうということもあるので、お子さまの特性を理解し接することが大切である。
 
 
チック障害
自分の意思とは無関係に、まばたきやせき払いなど同じ動作を何度も繰り返すチック症。子どもに多い脳の神経系疾患で、就学期に多発する。多くは成長とともに症状が消える。チックは自分の意思とは関係なく起こる不随意運動の一種で、素早い動作が繰り返し起こる病気だ。まばたきや首をすくめるなど動きに関わるものを運動チック、せき払いや「あ、あ」といった発声、鼻鳴らし、同じ言葉を繰り返すものを音声チックという。これら複数の症状が重なる場合もある。チック症はチックを主な症状とし、発達過程に起こる病気だ。
 
 
 
 
◆重症心身障害
 
重症心身障害は、重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複した状態とされている。
重症心身障害のある人は、ADL(日常生活動作)、IADL(手段的日常生活動作)で規定される生活行為については全面介助を要する。しかし、自分の気持ちをもつ、その気持ちを伝えたいという能力は失われていない場合が多いので、伝えようとする力を引き出すことが大切である。
重症心身障害のある人は、身体障害を合併するため、言語表出が苦手であり、言葉を使っての意思表示が難しい。したがって介護する側が閉じられた質問を用いて尋ねたり、写真を見せながら選んでもらうといったことが必要である。
 
 
 
 
◆難病
 
 
■2014(平成26)年に難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)が成立し、難病指定難病について定義された。(施行は2015(平成27)年)指定難病は医療費助成の対象となる。

原発性リンパ浮腫
原発性リンパ浮腫は、がん手術によって生じるリンパ浮腫とは区別され、リンパ管の先天的低形成・無形成や機能不全により、四肢、特に下肢を中心にリンパうっ滞(浮腫)を発症し慢性的に経過する疾患である。症状・経過は多様であるが、浮腫により肥大した四肢の整容性の問題や感染やどの患部に続発する問題によって生涯にわたり身体的・精神的苦痛となる難治性疾患である。
対処療法に弾性ストッキングの着用やリンパドレナージマッサージがある。また、肥満もリンパ浮腫に影響する因子とされている。日常生活において肥満を防ぐことが大切である。

 
 
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は、大腸の潰瘍・びらんを主徴候とし、下血を伴うまたは伴わない下痢とよく起こる腹痛である。原因不明の大腸炎である。症年齢のピークは男性で20~24歳、女性では25~29歳にみられますが、若年者から高齢者まで発症します。男女比は1:1で性別に差はない。
 
 
全身性エリテマトーデス(SLE)
全身性エリテマトーデスとは、発熱、全身倦怠感などの全身的な炎症と、関節、皮膚、内臓などのさまざまな臓器の障害が一度に、あるいは次々に起こってくる病気である。その原因は不明である。20〜40歳代の女性に好発する病気で、日本全国に6万人以上の患者さんがいると考えられている。皮膚の症状としてもっとも有名なのは、頬に出来る赤い発疹(頬部紅斑)で、蝶が羽を広げている形をしているので、蝶型紅斑(ちょうけいこうはん)とも呼ばれている。また、表皮の角質層が厚くなりやがて剥がれて脱落する「角化性鱗屑」を伴う隆起した紅斑(円板状エリテマトーデス)も、この病気に特徴的で、顔面、耳、首のまわりなどに好発します。光線過敏症、口内炎、脱毛、関節炎などが生じることもあります。 臓器障害としては、様々なものが知られており、血球減少症、胸膜炎、心膜炎、腎炎、精神神経障害などがあります。ただし、これらすべての症状が起こるわけではなく、患者さん一人一人によって、出てくる症状、障害される臓器の種類や程度が異なります(全く臓器障害のない、軽症のひともいます)。
 
 
ベーチェット病
ベーチェット病は、口腔粘膜のアフタ性潰瘍、皮膚症状、眼のぶどう膜炎、外陰部潰瘍の4症状を主とし、急性炎症発作を繰り返すことを特徴とする。
 
 
脊髄小脳変性症
脊髄小脳変性症は、失調性歩行(ふらふらとした不安定でぎこちない歩行)、手がうまく使えない、口や舌がもつれて話しづらいなどの、小脳の症状である「運動失調症状」を主症状とし、小脳、脊髄に関礼した神経経路に病変がみられる原因不明の変性疾患の総称である。運動失調以外に、自律神経障害として、起立性低血圧、排尿障害、発汗障害などがみられる。
 
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気である。しかし、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)だけが障害をうける。その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていく。ほかに、延髄運動神経核の変性による球麻痺症状(※)がある。顔面・咽喉頭・舌の筋委縮により発生や嚥下障害を生じる。呼吸筋の筋力低下では、呼吸困難のため人工呼吸器が必要になる場合もあるが、症状の個人差が大きい。その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通である。感覚神経への障害・眼球運動障害・膀胱直腸障害などは、末期まで出現することは少ないとされる。眼球運動をコミュニケーションの手段として活用することがある。
球麻痺延髄の運動核の障害による麻痺のこと。球は延髄の慣用語で,舌,咽頭(いんとう),口蓋,喉頭(こうとう)などの筋の運動を支配する脳神経核があるため,延髄の損傷でしばしば咀嚼(そしゃく),嚥下(えんげ),さらに構音の障害をきたす。
 
 
パーキンソン病
パーキンソン病は神経伝達物質の1つであるドーパミンが減少することで起きるとされる。ゆっくりと進行する原因不明の神経変性疾患で50~65歳での発症が多い。40歳以下で起こる場合もあり、若年性パーキンソン病と呼ばれている。薬物療法による治療には、L-ドーバ(レボドーバ)(ドーパミンを補う薬)などが用いられる。

【パーキンソン病の四大徴候】
①筋強剛(筋固縮)
筋肉がこわばる。顔の筋肉が固縮することによって表情が乏しくなる仮面様顔貌がみられる。

②動作緩慢(無動・寡動)
動きが鈍くなる

③振戦
安静時の両手のふるえ

④姿勢反射障害
前かがみの姿勢、小刻み歩行、突進現象、すくみ足、転倒しやすくなるなどの症状がみられる。

【非運動症状】

●パーキンソン病認知症
パーキンソン病認知症では(レビー小体型認知症と異なり)、一般に精神機能の低下は、筋肉や運動の異常が発生してから10~15年後に始まる。他の認知症と同様、多くの精神機能が影響を受けます。記憶力が損なわれ、注意を払ったり情報を処理したりすることが困難になり、思考が鈍くなる。計画や複雑な課題を行う能力の低下は、アルツハイマー病より多く、より早くみられる。幻覚や妄想は、レビー小体型認知症より少ないか、より軽度である。

自律神経系の症状(便秘、排尿障害、起立性低血圧など)
自律神経症状としては,80%以上の方にみられるとされる便秘起立性低血圧頻尿発汗過多などがあげられます.そしてそれ以外にもその他の症状として,やせてくる,疲れやすい,においが分からないなど様々な症状が知られるようになっております.

精神症状
気分が落ち込むなどのうつ症状がみられたり、無関心になったり、不安が高まることがある。うつ症状は、うつ病とは区別されるが、約半数の方にみられるといわれている。

嚥下障害
パーキンソン病患者さんの約50%に、摂食・嚥下障害がみられる。

 
 
 
 
◆障害のある人の心理
 
 
障害受容の過程
障害を持ってしまった人間の心理は複雑であり、いくつかの理論が提唱されている。特に日本国内では、コーンとフィンクの段階理論が用いられることが多い。ただ、どちらの段階理論も障害受容の過程については基本的には異なっていないとされている。この過程は、適応に向かって一段階ずつ前進するものではなく、一進一退しつつ以降する。

【コーンの段階理論】

ショック→回復への期待→悲哀(悲嘆)→防衛→適応

ショック
発症・受傷直後であり、現実に起きていることが「自分自身とは関係がない」というような衝撃を感じている段階。

回復への期待
自分自身に起きていることを否認し、すぐに治るだろうと思い込もうとする段階。

悲哀(悲嘆)
徐々に現在の状態や状況を現実的に理解しはじめ、自分の価値が無くなり、全て失ってしまったと感じる段階。内向的反応(抑うつ、自責、自殺企図)や外向的反応(責任転嫁、怒り、恨み)を示す。

防衛
前向きに捉えることで、障害をものともせず感じることができはじめる段階。もし前向きに捉えることができなかった場合は、心の平静を保つために防衛機制を多用することがある。

適応
障害を受け入れ、障害は自分の個性のひとつであり、それによって自分の価値が無くなることはないと考え始める段階。少しずつ、他者との交流も積極的になっていく。

 

 

【フィンクの段階理論】

衝撃(ショック)→防御的退行→承認→適応と変化

衝撃(ショック)
強い不安から混乱状態になり、無気力状態に陥る段階。

防御的退行
自分自身の状況を否認したり、反対に願望のような回復に対する期待を持つ段階。

承認
色々な葛藤(自責、抑うつ、怒り等)がありながらも、少しずつ自分自身の状況を理解していく段階。

適応と変化
新しい価値観を見出し、現在の自分自身を受け入れる段階。