1.生活と福祉

 

◆家族

 

家族

家族とは、夫婦関係を中心として、親子、兄弟、近親者によって構成される、第一次的な福祉追及の集団である。なお、世帯と異なり、進学、就職、単身赴任等さまざまな理由で別居している構成員も家族に含まれる。

 

家族は、家族規模、家族構成、同居する世代の数による分類がある。家族構成による分類は以下の表の通りである。

核家族

夫婦、夫婦と未婚の子または一人親と未婚の子からなる家族

拡大家族

三世代同居など、複数の核家族からなる家族

直系家族

拡大家族のうち、親と1人の既婚の子からなる家族

複合家族

拡大家族のうち、親と複数の既婚の子からなる家族

 

■世帯

世帯は、「居住と家計をともにする人々の集まり」と定義され、国勢調査や家計調査、住民登録(住民基本台帳への記載)などで用いられる行政上の概念である。同居して寝食を共にする非家族(里子や使用人)も世帯に含まれる。経済的不要関係にあっても、進学や単身赴任のため一時的に別居している者は同一世帯とならない

 

■親族

親族とは、民法によれば、①六親等内の血族、②配偶者、③三親等内の姻族をいう。
※三親等内の親族(おじ、おば、おい・めい、嫁・婿、舅・姑など)

下図に入っているものが親族である。

また、民法では成年の子・孫と父母・祖父母などの直系血族兄弟姉妹は互いに扶養する義務があるほか、家庭裁判所は特別の事情があるときには三親等内の親族間でも扶養の義務を負わせることができるとされている。

 

 

◆地域

 

■都市化

都市化とは、特定の社会のなかで都市的な集落に住む人口の割合が増加することにより、都市自体の規模が大きくなっていくことで、マクドナルド化、ファストフード化、コンビニ文化と表現されることもある。本来は都市的集落に特有の生活様式や社会関係、意識形態が、社会全体に浸透していくことと定義できる。

過剰都市化現象では、人口の過密による交通渋滞やバス・地下鉄での混雑、潤いの少ないコンクリート環境と競争社会におけるストレスを引き起こす一方で、匿名化社会となり、犯罪も発生しやすくなる。

 

過疎化

過疎化とは、①地域の人口(戸数)が急減し、②その影響で産業の衰退や生活環境の悪化がもたらされ、③住民意識が低下し、④最後には地域から人がいなくなる(集落の消滅)ことをいう。過疎地域は、過疎地域自立促進特別措置法により、政府国勢調査をもとに市町村単位で指定する。

過疎問題とは、産業化や都市化などに伴う人口流出によって、それまでの生活水準または生活パターン(防災・教育・保健などの基礎的条件)が維持できない状態になった地域の問題をいう。過疎地域においては、若年層の人口流出により地域人口が高齢化し、高齢者問題が深刻になり、地域の生産機能も低下する。限界集落も増加している。

過疎問題の一例として、人口減少に伴い購買力が縮小し、商店街のシャッター通り化が促進された結果、高齢の消費者は移動や交通手段の制約により近隣都市にある低価格の大型店にも行けず、買い物難民となることなどがあげられる。

 

■限界集落

限界集落とは、より狭域の集落・旧村のレベルで、高齢化率(65歳以上の人口が総人口に占める割合)が50%以上であり、共同体機能の維持が困難な集落。

 

■社会福祉法人

社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的として、社会福祉法に基づいて設立される法人である。社会福祉法人の設立認可は、市長都道府県知事または厚生労働大臣が行う。

社会福祉法人の行う社会福祉事業には、第一種社会福祉事業第二種社会福祉事業がある。

 

経営主体

主な事業内容

第一種社会福祉事業

国、都道府県、社会福祉法人が原則

老人福祉法の特別養護老人ホームや、障害者総合支援法の障害者支援施設など

第二種社会福祉事業

経営主体の制限はない

老人福祉法の老人デイサービス事業や、障害者総合支援法の障害福祉サービスなど

 

また、社会福祉法人は経営する社会福祉事業に支障がない限り、公益事業収益事業を行うことができる。公益事業行うにあたって、日常生活または社会生活上の支援を必要とする人に対して、無料または低額な料金で、福祉サービスを積極的に提供するよう努めなければならない収益事業とは社会福祉事業もしくは公益事業の経営に充てることを目的とする事業のことである。一例として、共同募金事業は、第一種社会福祉事業である。

社会福祉法人は、社会福祉事業を行うに必要な資産を備えなければならないとされている。また、不当に国および地方公共団体の財政的、管理的援助を仰いではならないとされている。

社会福祉法人は解散や、他の社会福祉法人と合併を行うことができる。
社会福祉法人には、役員として、理事3人以上及び監事1人以上を置かなければならない。監事理事や職員などを兼ねてはならない

加えて2017(平成29)年度からは、理事・監事に加え、理事会を置かなければならないこととなっている。また、評議員評議員会置かなければならないものとなっている。

(参考)厚生労働省のHPより引用

 

 

 

 

◆ライフスタイルの変化及び社会構造の変容

 

■産業化

産業化とは、西洋における産業革命を契機として進行した。経済領域における変動を指す概念である。工業化とも言われ、農業社会から工業を中心とした産業構造へと変動する過程をいう。産業化の進展は、業績主義や効率の優位をもたらし、官僚制が進展する。

 

■情報化

情報化とは、工業化の次の段階として、情報の生産、処理、流通にかかわる第三次産業の発展を意味している。情報化した社会は脱工業化社会といわれ、後に情報化社会と呼ばれるようになった。

 

■産業化、夫婦家族制の理念の浸透、出生率の低下などの要因により、集団としての家族は小規模化している。平均世帯員数は、1920(大正9)年の第一回国勢調査以降、1955(昭和30)年までは5人前後で推移してきたが、1970~1980年代には3人台、1990(平成2)年以降は2人台と減少し、2010(平成22)年には2.42人になった。一方世帯数は増加している。世帯数の増加には未婚化晩婚化離婚の増加高齢化などが作用している。

 

■国民生活基礎調査

国民生活基礎調査はよく設問や選択肢に使われるデータなので一度は目を通しておきましょう。
国民生活基礎調査「世帯数と世帯人員の状況」

●世帯構造
夫婦と未婚の子のみの世帯が 1485 万 1 千世帯(全世帯の 29.1%)で最も多く、次いで単独世帯が 1412 万 5 千世帯(同 27.7%)、夫婦のみの世帯が 1227 万世帯(同 24.1%)となっている。
世帯数増加傾向にある。

 

●高齢者世帯
65歳以上の者のみで構成するか、またはこれに18歳未満で未婚の者が加わった世帯のこと。「高齢者世帯」は 全ての世帯でみると、1406 万 3 千世帯(全世帯の 27.6%)となっている。

 

●65歳以上の者のいる世帯
65 歳以上の者のいる世帯は 2492 万 7 千世帯(全世帯 48.9%)となっている。「65歳以上の者のいる世帯」に絞ってみると、夫婦のみの世帯が 804 万 5 千世帯(65 歳以上の者のいる世帯の32.3%)で最も多く、次いで単独世帯が 683 万世帯(同 27.4%)、「親と未婚の子のみの世帯」が 512 万 2 千世帯(同 20.5%)となっている。65歳以上の者の「単独世帯」は増加傾向にある。

さらにそこから「高齢者世帯」に絞ってみると、単独世帯が 683万世帯(高齢者世帯の 48.6%)、夫婦のみの世帯が 664 万 8 千世帯(47.3%)となっている。

 

高齢者世帯の「単独世帯」(一人暮らしのお年寄り)
は 32.6%、は 67.4%となっており、女性の一人暮らしの方が多い。性別に年齢構成をみると、男は「65~69 歳」が33.8%、女は「75~79 歳」が 22.3%で最も多くなっている。

 

65歳以上の者の家族形態
65歳以上の家族形態は「夫婦のみの世帯」が38.9%で最も多く、次いで「子と同居」が38.4%となっており、65歳以上の者の子との同居率は5割を回っている。
性・年齢階級別にみると、年齢が高くなるにしたがって「子夫婦と同居」の割合が高くなっており、「単独世帯」「子夫婦と同居」の割合が高くなっている

 

●介護が必要となった主な原因を要介護度別にみると、要支援者では関節疾患が 17.2%で最 も多く、次いで「高齢による衰弱」が 16.2%となっている。要介護者では認知症24.8%で 最も多く、次いで脳血管疾患(脳卒中)が 18.4%となっている。
引用 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/16.pdf

 

 

 

 

◆生活支援と福祉

 

■ナショナルミニマム

イギリスウェッブ夫妻によって提唱された概念。政府と自治体が社会保障その他の公共政策によって国民の最低限度の生活を保障すること

 

■「社会福祉」が法令用語として初めて用いられたのは、1947(昭和22)年施行の日本国憲法第25生存権に関する規定である。この規定により、国民が生存権を有し、その保障を国が義務として負っていることが明らかにされた。この規定を受けて、第二次世界大戦後の日本の社会福祉制度は整備されていった。

~日本国憲法第二十五条~

すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 

 

■福祉三法

昭和20年代は、貨幣的ニーズ(現金給付によって充足するニーズ)に対して生活保護が中心となっていた。前半は戦争被災者等の緊急的な生活保障、後半は日本経済の復興が課題で、この時期にいわゆる福祉三法生活保護法児童福祉法身体障害者福祉法が成立した。

 

■福祉六法

昭和30年代においても、貨幣的ニーズへの対応は福祉政策の中心であり、施設福祉も国民の最低生活の保障の意味があった。新しい福祉各法の制定で福祉六法体制となったものの、低所得層への対応が課題であり、生活保護の比重は依然として大きかった。

区分

法律名

成立年

 福祉六法

福祉三法

生活保護法

1946(昭和21)

児童福祉法

1947(昭和22)

身体障害者福祉法

1949(昭和24)

精神薄弱者福祉法(現・知的障害者福祉法

1960(昭和35)

老人福祉法

1963(昭和38)

母子福祉法母子及び父子並びに寡婦福祉法

1964(昭和39)

         

★生活保護、社会福祉法はポイントとなる点を後述。その他の法律は名前だけ覚えておく。

 

■社会福祉法

1951(昭和26)年には、福祉三法の実施体制を確立するために社会福祉事業法(現・社会福祉法)が制定され、社会福祉の実施機関として、福祉事務所が各都道府県と市に設置された。その後、社会福祉基礎構造改革により2000(平成12)年に大幅に改正され、法の名称も社会福祉法となった。これにより福祉サービスは、行政処分によってサービス内容を決定する措置制度から、利用者が事業者と対等な関係に基づいてサービスを選択する利用契約制度に転換された。

 

■老人保健法(現・高齢者の医療確保に関する法律(高齢者医療確保法))
昭和40年代後半から認知症高齢者の問題がクローズアップされた。昭和50年代は高齢化に伴う在宅の要介護老人への介護サービスに対するニーズが増大し、1982(昭和57)年には老人保健法(現・高齢者医療確保法)が制定された。一方、1973(昭和48)年からの第一次オイルショックによる不況で、生活保護受給者の数も微増傾向にあった。

 

■福祉関係八法改正

1990(平成2)年のいわゆる福祉関係八法改正によって、高齢者及び身体障害者の施設への入所決定等の事務が都道府県から町村(福祉事務所を設置しない町村)に移譲され、在宅福祉サービスと施設福祉サービスの一元化などが図られた。

※福祉八法改正(老人福祉法、身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法(現・知的障害者福祉法)、児童福祉法、母子福祉法(現・母子及び父子並びに寡婦福祉法)、社会福祉事業法(現・社会福祉法)、老人保健法(現・高齢者医療確保法)、社会福祉・医療事業団法)

細かく覚える必要はなく、福祉関係の八本の法律がいろいろ改正されたという程度の認識で問題ない

 

■社会福祉法の要点

・社会福祉法第3条

福祉サービスの基本理念として「福祉サービスは、個人の尊厳の保持を旨とし、その内容は、福祉サービスの利用者が心身ともに健やかに育成され、またはその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援するものとして、良質かつ適切なものでなければならない。」と規定されている。

 

・社会福祉法第4条

地域福祉の推進として、「地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者は、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化、その他のあらゆる分野の活動に参加する機会が与えられるように、地域福祉の推進に努めなければならない。」と規定されている。

 

・社会福祉法第5条

福祉サービスの提供の原則として、「社会福祉を目的とする事業を経営する者は、その提供する多様な福祉サービスについて、利用者の意向を十分に尊重し、かつ、保健医療サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図るよう創意工夫を行いつつ、これを総合的に提供することができるようにその事業の実施に努めなければならない」と規定されている。

 

・社会福祉法第6条

国及び地方公共団体の責務として、「国及び地方公共団体は、社会福祉を目的とする事業を経営する者と協力して社会福祉を目的とする事業の広範かつ計画的な実施が図られるよう、福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策、福祉サービスの適切な利用の推進に関する施策その他の必要な各般の措置を講じなければならない」と規定されている。社会福祉は、基礎自治体である市町村が実施体制の中心となっている。

 

・社会福祉法第23条

社会福祉法人以外の者は、その名称中に、「社会福祉法人」又はこれに紛らわしい文字を用いてはならない

 

・社会福祉法第42条

監事は、理事、評議員又は社会福祉法人の職員を兼ねてはならない

 

 

■ゴールドプラン

ゴールドプランは高齢化社会を支えるために国が打ち出した施策である。策定されることになった背景には、1986年に閣議決定された「長寿社会対策大綱」と、1988年に策定された「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え」がある。

1989(平成元年)にホームヘルパーを10万人、特別養護老人ホームを24万床にするなど、10年間の具体的な数値目標を定めた、ゴールドプラン(高齢者保健福祉推進10か年戦略)が策定された。
しかし、高齢化が当初の予想を超えて急速に進んだため、数値目標の修正が必要になり、1994(平成6年)にゴールドプランを見直した「新ゴールドプラン」が策定された。

ゴールドプランと新ゴールドプランによって、老人保健福祉計画の整備が進められていったが、1999(平成11)年度で新ゴールドプランが終了すること、そして、2000(平成12)年には日本は高齢化率が世界最高水準に到達することが予測されることなどを受け、1999(平成11)年12月に「ゴールドプラン21」が策定された。ゴールドプラン21は5年間の計画で別名「今後5年間の高齢者保健福祉施策の方向」と呼ばれている。

 

■福祉多元主義
福祉サービスの供給主体を国だけでなく民間も含め多元化する考え方。

 

 

 

2.社会保障制度

 

◆社会保障の基本的な考え方

 

■社会保障の目的

生活の保障・生活の安定
社会保障は、個人の責任や自助努力では対応しがたい不測の事態に対して、社会連帯の考えのもとにつくられた仕組みを通じて、生活を保障し安定した生活へと導いていくものである。

個人の自立支援
疾病などの予期しがたい事故や体力が衰えた高齢期などのように、自分の努力だけでは解決できず、自立した生活を維持できない場合等において、障害の有無や年齢にかかわらず、人間として尊厳を持って、その人らしい自立した生活を送れるように支援すること。

家庭機能の支援
核家族化の進展や家族規模の縮小による家庭基盤の脆弱化や、生活環境・意識の変化、長寿化の進展等により、私的扶養による対応のみでは限界にきている分野・例えば介護、老親扶養などの家庭機能について、社会的に支援すること。

 

 

■社会保障の機能

社会的安全装置(社会的セーフティネット)
病気や負傷、介護、失業や稼得能力を喪失した高齢期、不測の事故による障害など、生活の安定を損なう様々な事態に対して、生活の安定を図り、安心をもたらすための社会的な安全装置としての機能

所得再分配
税金や社会保障制度等を通じて、所得を個人や世帯間で移転させることにより、所得格差を縮小したり、低所得者の生活の安定を図ったりする。例えば、収入の多い人ほど納める税金が高くなる累進課税制度などである。

リスク分散
病気や事故、失業などの、個人の力のみでは対応しがたいリスクに対して、社会全体でリスクに対応する仕組みをつくることにより、資金の提供等を通じて、リスクがもたらす影響を極力小さくする機能。

社会の安定及び経済の安定・成長
生活に安心感を与えたり、所得格差を解消したりすることから、社会や政治を安定化させること。あるいはこうした社会保障給付を通じて、経済安定化機能や経済成長を支えていく機能

 

 

■最近の社会保障制度のとらえ方

所得保障医療保障社会福祉に大別できる。

所得保障
所得の喪失や減少安堵で生活困難な事態に対して、現金給付により所得を補填し生活の安定を図る。生活保護、年金制度、雇用保険など

医療保障
疾病や障害の治療や健康の維持・回復のために医療機関等において保険・医療サービスを受けることを保障する。医療保険、医療制度など

社会福祉
個人の自己責任による解決が困難な生活上の問題に対して、行政機関がサービスを提供し、生活の安定・自己実現を支援する。児童福祉、高齢者福祉、障害者福祉など

 

 

◆日本の社会保障制度の発達

 

■年金保険

厚生年金保険法

1944(昭和19)年

成立

国民年金法

1959(昭和34)年

成立

1961(昭和36)

国民皆年金

基礎年金

1985(昭和60)

導入

※1961(昭和36)年から国民皆保険が実現し、同年には福祉年金が導入され国民皆年金も実現した

基礎年金:国民年金法において全国民のために設けられている基礎的な年金で、老齢基礎年金障害基礎年金遺族基礎年金の3種類がある。1985(昭和60)年の国民年金法、厚生年金保険法改正によって成立した。被用者保険としての厚生年金保険は基礎年金に上積みされる年金として再編された。

 

 

医療保険

国民健康保険法

1938(昭和13)年

成立

1958(昭和33)年

全面改正

1961(昭和36)

国民皆保険

老人保健法

1982(昭和57)

成立

2008(平成20)

「高齢者の医療の確保に関する法律」に全面改正

 

 

■介護保険

介護保険法

1997(平成9

成立

2000(平成12)

施行

 

 

 

 

 

◆日本の社会保障制度のしくみの基礎的理解

 

■社会保険と社会扶助
社会保障のしくみを大別すると社会保険社会扶助に分けることができる。

社会保険

公的な機関(国や地方公共団体)が保険者となり、保険という手段を使って「保険料」を財源として、給付を行う仕組み。保険料を皆で出し合っておいて、皆でリスクを分散しておこうとする仕組みである。社会保険の特徴としては「被保険者は法律に基づいて強制加入である」という点である。日本の社会保険の分野では年金保険医療保険雇用保険労働者災害補償保険(労災保険)介護保険の5つの制度が存在する。
社会保険に対して、生命保険会社等が提供する「民間保険」は保険の仕組みは似ているが、任意の加入であり、社会保険とは別ものである。

 

社会扶助

税金を財源として、保険の仕組みを用いずに給付を行う。国や地方自治体の施策として、現金やサービスの提供を行う仕組み。
社会扶助の中で代表的な制度として公的扶助(生活保護)がある。公的扶助(生活保護)は独力で自立した生活ができない要保護状態にある生活困窮者に対して、ミーンズテストと呼ばれる資力調査を行う事を要件として、国または地方自治体が税金を財源に、その人の最低限度の生活を保障する制度である。
また社会扶助の中には社会手当と呼ばれる分野が存在する。社会手当は、ある一定の要件に該当する人へ現金を給付し、生活支援などの政策目的を果たそうとするものである。代表的なものとして「児童手当」や「児童扶養手当」などがある。

 

 

■社会保障の費用徴収方法

社会保障の費用徴収方法には、応能負担応益負担がある。

応能負担
その人の負担能力(収入が多いか少ないか)に応じて、費用を負担する方式。老人福祉制度の利用者負担は、応能負担である。例えば、10万円分のサービスを受けた場合の利用者負担の金額は、収入の多いAさんは1万円で、収入の少ないBさんは4000円といった具合である。

 

応益負担
受けたサービスの量(受けた利益)に応じて、費用を負担する方式。介護保険制度の利用者負担は、応益負担である。例えば、利用者負担割合が1割の人の場合、利用者負担の金額は、5万円分のサービスを利用したら5000円で、10万円分のサービスを利用したら1万円になるといった具合である。

 

 

■社会保険の財政方式

社会保険の財政方式には賦課方式積立方式がある。

①賦課方式
現在の日本の公的年金は原則として賦課方式を採用している。賦課方式とは、毎年の給付をその年の収入、つまり若い人が払った年金保険料で賄う方式である。簡単に言えば、若い人の払った保険料がそのまま高齢者の受け取る年金になる方式である。
賦課方式のメリットはインフレに強いことである。賦課方式であれば、インフレになり年金保険料が高くなったとしても、その分現役世代の賃金も増加するため、事実上の負担額(収入に対する国民年金保険料の割合)は変わらない。つまり、賃金や物価などの変動による影響を受けにくい

一方、賦課方式のデメリットは、世代間格差が明確になりやすく少子高齢化に弱いことである。少子高齢化が進展すると現役世代に対する高齢者の割合が増えるため、現役世代一人一人にかかる負担が大きくなってしまう。現在は現役世代約3人で高齢者1人を支えているが、2050年には現役世代1人で高齢者1人を支えなければならないという試算もある。

※インフレ:好景気などでモノがよく売れると、需要が供給を上回り、モノの値段が上がる。また、賃金や原料の高騰などで、モノを作るための費用が上がり、モノの値段が上がることもある。まとめるとインフレではお金の価値が下がり、物価、賃金が上がる。

 

積立方式
積立方式は、自分で支払った保険料を運用し、年金を受給する年齢になったら今まで払ってきた国民年金保険料と運用益を受け取る方式である。現役世代が高齢者を支えるのではなく、現在の自分が将来の自分を支える。確定拠出年金や保険会社が提供している私的年金などは、この方式を採用している。
積立方式のメリットは、世代間格差が生まれず、少子高齢化に比較的強いことである。
一方、デメリットはインフレなどの賃金や物価などの経済変動に弱いことです。例えば、なんらかの理由で物価が100倍、賃金水準も100倍になったとする。この場合、今までこつこつ積み立ててきた年金保険料はほぼ無価値になってしまう。

 

 

◆年金保険

 

年金は日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入する必要がある。老齢基礎年金の支給開始年齢は基本的に65歳であるが、本人の希望によって60~64歳で繰り上げ(減額)支給、66歳以降で繰り下げ(増額)支給を選択できる。

年金の加入者は次の3つに分かれる。

①第1号被保険者
日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の自営業者、農業、漁業、フリーター、学生および無職の方とその配偶者(第3号被保険者でない方)

②第2号被保険者
厚生年金に加入している会社員や公務員、フルタイム勤務の方

③第3号被保険者
第2号被保険者に扶養されている方で原則として年収が130万円未満の20歳以上60歳未満の方

年間保険料を払っていれば、65歳からは「老齢基礎年金」を受け取ることができる。また、障害状態になった時には「障害基礎年金」、死亡したときには遺族に「遺族基礎年金」が給付される。これらをまとめて国民年金(基礎年金)と呼び、上図の1階部分にあたる。

これまで年金を受け取るためには、保険料を25年以上払い続けなければ受け取ることができなかったが、2017年8月より、年金を受け取るための資格期間が10年以上に変更になった。累計で10年間の年金の支払いがあれば、将来年金を受け取ることができるように変更されたが、当然支払期間が長い方がより多くの年金を受け取ることができる。
年金の受け取りは、国民年金のみ加入していた者(第1号、第3号被保険者)は、1階部分のみの受け取りで、厚生年金に加入していた者(第2号被保険者)は1階部分に加えて2階部分も受け取ることができる。
厚生年金は第2号被保険者のみが加入しており、事業主と被保険者で半額ずつ負担して納付している。第1号、3号被保険者よりも厚生年金に加入している第2号被保険者の方が受け取る年金額は多い。会社の給与明細には厚生年金の項目しかないので、「国民年金ではなく厚生年金に加入している」と勘違いする人が多いが、厚生年金には国民年金が含まれており、厚生年金の保険料は「国民年金+厚生年金」の保険料となっている。

 

■障害基礎年金
被保険者の障害等級が1級・2級の状態になった時に、国民年金の保険料納付済期間(免除期間も含む)が加入期間3分の2以上であれば支給される。20歳未満で障害の状態になったものは、20歳になってから障害基礎年金を受給できる。

※障害の程度に応じて1~14級に分けられている障害等級は、後述の「障害支援区分」とは別物である。

 

 

 

◆現代社会における社会保障制度

 

■人口動態
0~14歳を年少人口、15~64歳を生産年齢人口、65歳以上を老年人口という。
資料:「平成27年(2015年)国勢調査(抽出速報集計)」(総務省統計局)

上のグラフは2015(平成27)年の国勢調査の結果による日本の人口ピラミッドである。

1997(平成9)年に年少人口比率が老年人口比率より少なくなった
2014(平成26)年に老年人口が年少人口の2倍を超えた
・日本の人口ピラミッドは上図のような逆ひょうたん型である。
2011(平成23)年以降、総人口は減少してきている。
2015(平成27)年に第1次ベビーブーム世代(団塊の世代)が65歳以上に達した。

 

■合計特殊出生率
合計特殊出生率1人の女性が生涯に産むと推計される平均的な子どもの数である。 
資料:厚生労働省平成29年(2017年)人口動態月報年計(概数)

・合計特殊出生率は2017(平成29)年は1.43であった。
・合計特殊出生率は1975(昭和51)年以降は2.0を超えていない。

 

■人口置換水準

現在の人口を維持できる合計特殊出生率。
国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料2018」によると、2016(平成28)年における人口置換水準2.07となっている。

 

 

 

◆社会保障の給付と負担

社会保障費用統計(社会保障給付費)
社会保障費用統計(社会保障給付費)は年金や医療保険、介護保険、雇用保険、生活保護など、社会保障制度に関する1年間の支出を、集計するものである。

社会保障費用統計(社会保障給付費)の総額は毎年増加を続け、2013(平成25)年の給付費の総額は、約110兆円であり、2017(平成31)年度では120兆円を超え、過去最高を更新したと発表した。国立社会保障・人口問題研究所は高齢化に伴う要介護認定者数の増加などが要因と分析している

社会保障費用統計(社会保障給付費)を部門別に見ると、年金45.6%、医療32.8%、福祉その他21.6%である(平成 29(2017)年度「社会保障費用統計」の概況)

■高齢者関係給付費
社会保障費用統計(社会保障給付費)のうち高齢者を対象としたもので、年金保険給付費、高齢者医療給付費などを合わせたもので、社会保障給付費に占める割合は67.6%である(平成27(2015)年度)

■社会保障の財源
2016年度の社会保障財源の総額は134兆9,177億円であり、内訳は社会保険料が51.1%、公費負担が35.4%、その他の収入が13,6%となっている。(平成28年度社会保障費用統計より)

わが国の一般会計予算の歳出で最大のものは社会保障関係費である。2010(平成22)年以降は、国の一般歳出の2分の1を超えている。(平成27年度版厚生労働白書)
2015(平成27)年度の予算における社会保障関係費は、31兆円台、最も高い割合は年金医療介護保険給付費73.3%で、社会福祉費の割合は15.4%となっている(平成27年度版厚生労働白書)

 

3.介護保険制度

 

 ◆介護保険制度の動向

 

 介護保険法の改正の歴史を時系列でみておく。

1997(平成9)年
介護保険法成立

2000(平成12)
介護保険法が施行されサービス開始となる。

2005(平成17)
介護保険法改正(施行は2006(平成18)年)

・法の目的に要介護高齢者等の尊厳の保持が加わった。
・高齢者が要介護状態になることを予防する介護予防重視の観点から、予防給付地域支援事業が創設される。

・介護保険施設等における食費及び居住費について、施設介護サービス費等の対象とせず利用者が負担することとなった。

地域密着型サービスの創設
地域包括支援センターの創設

 

2011(平成23)
介護保険法改正(施行は2012(平成24)年)

高齢者が可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく有機的かつ一体的に提供される地域包括ケアシステム推進されることとなった。具体的には、

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の創設
複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)の創設
総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)の導入

 

2014(平成26)
介護保険法改正(施行は2015(平成27)年)

地域包括ケアシステム構築と費用負担の公平化

・在宅医療・介護連携の推進などの地域支援事業の充実とあわせ、全国一律の予防給付(介護予防訪問介護・介護予防通所介護)地域支援事業へ移行し、多様化(住んでいる地域によってサービス内容・料金が異なることになる)

・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の新規入所者を、原則要介護3以上に重点化

・一定上所得のある利用者の自己負担を2割へ引き上げ

 

 

◆介護保険制度のしくみの基礎的理解

 

■保険者

介護保険の被保険者は、市町村及び特別区とされ、介護保険特別会計を設置して介護保険に関する収入と支出を管理することとされている。ただし、小規模な市町村については、広域連合一部事務組合など特別地方公共団体である広域自治体も保険者となることができる。

※ 広域連合
廃棄物処理や地域振興など、都道府県や市町村の区域を超える広域行政需要に対応するために設立できる特別地方自治体。

一部事務組合
地方自治法に基づき、都道府県や市町村、特別区が、事務の一部を共同で処理するために設ける特別地方公共団体。広域連合と基本的な目的は同じである。違いは、文字通り広域連合の方が「より広いエリア」をカバーすることを想定されていて、このために広域連合の方がより強力な権限を持つことができるという点である。強力な権限を持つために、広域連合には「議会がある(当然選挙もある)」「広域連合の長(市長や知事のようなもの)がいる」「住民による直接請求ができる。」などがある。

 

■被保険者
介護保険の被保険者は、次の2種類である。

①市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者(第1号被保険者)
②市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者(第2号被保険者)

 

■被保険者の資格喪失の時期と届出

資格喪失の時期

・市町村の区域内に住所を有しなくなった日の翌日から
・市町村の区域内に住所を有しなくなった日に他の市町村の区域内に住所を有するに至ったときは、その日から

届出

・第一号被保険者は、被保険者の資格の取得および喪失に関する事項などを市町村に届け出なければならない。

・第1号保険者の属する世帯の世帯主は、第1号被保険者に代わって届け出ることができる。

 

■介護保険施設、特定施設(有料老人ホーム、軽費老人ホーム)、養護老人ホームに入所、または入居することにより、施設所在地に住所を移した者は、施設入所前の住所地の市町村を保険者とする。2か所以上の施設を移った場合は、最初の施設入所前の所在地の市町村保険者とする。
(住所地特例)

■介護保険施行日に特別養護老人ホームに入所していた者は、施行日前に措置を行った市町村を保険者とする。

 

在日外国人は、市町村に住所を有していると認められればその市町村の被保険者となる。

 

■保険給付

保険給付は、

①被保険者の要介護状態に関する保険給付(介護給付
②被保険者の要支援状態に関する保険給付(予防給付
③その他、要介護状態または要支援状態の軽減または悪化の防止に資する保険給付として、市町村独自のサービスを条例で定めるもの(市町村特別給付

となっている。

 

■介護サービスの自己負担は原則1割であるが、2015(平成27)年より、合計所得金額が160万円以上ある第1号被保険者の自己負担は2割となった。

 

 

■受給権者(要介護者・要支援者)

介護保険給付の対象となるのは、被保険者のうち、要介護状態または要支援状態と認定された者である。

要介護・要支援者とは、
①要介護・要支援状態にある65歳以上のもの(第1号被保険者

②要介護・要支援状態にある40歳以上65歳未満の者(第2号被保険者)であって、その要介護・要支援状態が特定疾病(末期がん、脳血管疾患、関節リウマチなど、16種類の定められた疾病)によって生じたものであるものをいう。つまり第2号被保険者は特定疾病でなければ、介護保険を利用できない。

 

 

■介護サービス利用までの流れ

 

1.申請

介護保険を利用してサービスを受けるには、介護が必要かどうかの認定を受けるため、市区町村申請を行わなければならない。
被保険者本人やその家族、成年後見人などが、申請書に被保険者証を添えて市区町村申請する。この場合、担当窓口に直接行く、電話をするなどの方法と、地域包括支援センター申請を依頼する方法がある。

2005(平成17)年の介護保険法の改正(2006(平成18)年施行)で、委託を受けて申請の代行ができるのは、居宅介護事業者、地域密着型介護老人福祉施設もしくは介護保険施設であって、要介護認定の申請に関する援助の規定に違反したことがないもの、または地域包括支援センターに限定されることとなった。

 

2.要介護認定

新規認定の場合は、市区町村から認定調査員が被保険者を訪問し、本人や家族から74項目にわたる調査票による聞き取りを行う。調査票全国一律の内容でそれに基づきコンピューターによる一次判定が行われる。これと並行して被保険者のかかりつけ医(主治医)か市町村が指定する医師の診察を受けて、疾病または負傷の状況など医学的な点につき主治医意見書を求める。

市区町村に置かれる介護認定審査会(保険、医療、福祉に関する学識経験者5名程度で構成される。市区町村長任命)が調査票主治医意見書の2つのデータをもとに要介護認定の審査を行い、要介護状態に該当するか、要支援状態に該当するか、あるいは介護サービスを必要としないのかを最終的に判断する。(二次判定

 

3.通知

市区町村は、原則として申請のあった日から30日以内に要介護・要支援認定の結果を被保険者に通知しなければならない。申請から認定まで1か月近くかかるため、緊急その他やむを得ない理由により介護サービスを受ける必要が生じた場合は、要介護・要支援認定を受ける前でも介護サービスの利用ができる。この場合の費用は利用者が立て替え、あとでその9割(あるいは8割)が戻ってくる。
要介護・要支援認定がなされると、その申請のあった日にさかのぼって効力が生じる。また、要介護者や要支援者に該当しないと認められた時は、理由を付して被保険者に通知されるとともに、被保険者証が返付される。

要介護・要支援認定がなされると、ケアマネージャーなどにより、ケアプラン(介護サービス計画)が作成されサービス利用となる。

 

 

 

■指定サービス事業者の役割

介護保険を使うサービスを提供しようとする事業者は、サービスの種類ごとに定められた指定基準を満たすものとして、事業所ごとに都道府県知事または市町村長指定を受けなければならない。

居宅サービス事業者施設サービス事業者介護予防サービス事業者都道府県知事が事業者からの申請を受け、指定を行うが、地域密着型サービス事業者居宅介護支援事業者市町村長が申請を受け、指定を行う。

指定サービス事業者の指定等について欠格要件が規定されており、サービス事業者は6年ごとに指定の更新を受けなければならない。

指定サービス事業者は、利用者と介護保険サービスの利用契約を締結する。利用契約を締結する際の留意点は以下である。

・あらかじめ、利用者または家族に対し、重要事項説明書を交付してサービス内容を説明する。そのうえで、利用者の同意を得る。

・利用者または家族の承諾を得た場合は、重要事項説明書の交付に代えて、メールでの送信やCD-ROMなど、利用申込者または家族が出力して文書を作成することができるものにより提供してもよい。

・認知症などによって判断力が低下している利用者との利用契約は、成年後見制度などを活用する。

 

 

◆介護支援専門員(ケアマネジャー)

 

 

介護支援専門員(ケアマネジャー)は要介護者等からの相談に応じ、要介護者等がその心身の状況等に応じ適切なサービスを利用できるよう市町村およびサービス事業者等との連絡調整等を行い、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識および技術を有する者である。

 

介護支援専門員(ケアマネジャー)とは、都道府県が指定した法人が最低1年に一度行う実務研修受講試験に合格した後、都道府県が実施する実務研修を修了し、都道府県知事登録を受け、介護支援専門員証の交付を受けたものをいう。

 

主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)は、地域包括支援センターへの配置が義務付けられている。専任の介護支援専門員として通算して5年以上の実務経験のある者等が、主任介護支援専門員研修を修了することを要件とする。

 

■介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格の有効期間は5年で、更新研修を受けなければならない。

 

■介護支援専門員(ケアマネジャー)の義務・禁止事項は介護保険法で定められている。

 

■指定居宅介護支援事業者は、利用者35人に対して1人の介護支援専門員(ケアマネジャー)の配置を標準とする。

 

 

 

4.障害者自立支援制度

 

 

◆障害者自立支援制度創設の背景及び目的

 

社会福祉基礎構造改革による2000(平成12)年社会福祉事業法(現・社会福祉法)の改正などによって、障害者分野の福祉サービスが、行政処分によってサービス内容を決定する措置制度から利用者が事業者との対等な関係に基づいてサービスを選択する利用契約制度に転換することとなった。

 措置制度は、福祉サービスを必要としている人に対して、行政が必要性を判断して利用者のサービスを決定する。対して、契約制度では利用者が自らの意思でサービスを選択する。措置制度は、公平という観点からサービスを提供する点では優れているが、利用者の主体性を尊重するシステムにはなっていないため、福祉サービス利用の主体は利用者自身であるという新しい福祉の考え方にはなじまないとされた。そこで、障害者を福祉サービス利用の主体となりサービスを提供する指定業者・施設と直接契約し、国や地方自治体が必要な額を「支援費」として支給する支援費制度が制定された。

このような流れの中、障害者施策を利用者本位のサービス体系にする。支給決定の透明化。安定的な財源の確保といった視点から障害者自立支援法が制定され、2006(平成18)年から段階的に施行されることとなった。

 

この障害者自立支援法が利用者の費用負担増などが問題となって生まれ変わったものが障害者総合支援法2013年の四月から段階的に施行されている)である。障害者自立支援法から障害者総合支援法になり改善されたポイントが大きく分けて4つある。以下でそれをみていく。

1.基本理念の創設

障害者総合支援法では第1条2項に基本理念が加えられた。住み慣れた場所で必要な支援を受けられることや、社会参加の機会の確保、どこで誰と暮らすかの選択、社会的障壁の除去など障害のある人が保障されるべき権利がより明確になり、障害の有無によって分け隔てられることのない「共生社会」を目指す方向性が示された。

 

2.「障害者」の定義の拡大

障害者自立支援法では支援の対象が身体障害者、知的障害者、精神障害者(発達障害を含む)に限定されていが、2012(平成24)年の改正で新たに難病等が加えられた。具体的には2013(平成25)年では130疾病が対象であったが、段階的に対象疾病を増やし、2017(平成29)年は358疾病になっている。

 

3.障害程度区分  → 障害支援区分への変更

 (障害者自立支援法) (障害者総合支援法)

障害者自立支援法では日常生活が「できる」か「できない」で障害の程度をはかり、できる項目が多い=障害の程度は軽い、できる項目が少ない=障害の程度が重い、と実情と合っていない可能性のある区分となっていた。そこで障害者総合支援法では、生活環境を踏まえ、どの支援をどの程度必要とするのか?などを考えている。具体的には、コンピューター1次判定とかかりつけ医の意見書をふまえ、市町村審査会が決定する(二次判定)
市町村審査会は、障害支援区分の審査及び判定を行うにあたり、必要があると認められる場合、障害者本人、家族、医師などの意見を聴くことができる。
障害支援区分は非該当、障害支援区分1~6となり6のほうが重い。区分により利用できるサービスが異なる。

 

4.重度訪問介護の対象者の拡大

重度訪問介護
ホームヘルパーが自宅を訪問し、排泄、食事などの介護、調理、洗濯、掃除などの家事、生活などに関する相談や助言など、生活全般にわたる援助や外出時における移動中の介護を総合的に行うサービス。

障害者自立支援法では、重度の肢体不自由者のみが対象であり、知的障害者、精神障害者には「行動援護」が適応されていた。

障害者総合支援法では、身体障害者に加え、知的障害者精神障害者にも対象が拡大されている。

 

以下で具体的なサービスの種類・内容を見ていく。

 

 

■障害福祉サービス
障害者総合支援法では、自立支援給付(介護給付、訓練等給付、相談支援、自立支援医療、補装具など)地域生活支援事業の2つの支援が行われる。(下図参照)
引用 厚生労働省

地域生活支援事業の中には、市区町村が主体の事業と、都道府県が主体の事業がある。都道府県は手話通訳士などの人材育成や都道府県内の広域な事業を担い、市区町村は障害のある人に身近な自治体として、移動支援や日常生活用具の給付、貸与といった利用者にサービスを提供する役割を担っている。

ここからさらに細かくサービス内容をみていく。

■介護給付費の支給対象となる障害福祉サービス(①~⑨)

 

 ~訪問系サービス(①~⑥)~

居宅介護(ホームヘルプサービス)
入浴、排泄または食事の介護など、居宅での生活全般にわたる援助サービス

重度訪問介護
重度訪問介護の対象者は、障害支援区分が区分以上の重度の肢体不自由者又は知的障害もしくは精神障害により行動上著しい困難を有する障害者であって、常時介護を要する障害者とされている人を対象とした、居宅における介護から外出時の移動支援までを行う総合的なサービス(18歳以上の障害者を基本的に対象)

同行援護
視覚障害により移動に著しい困難を有する障害者・障害児を対象とした、外出時に同行して必要な視覚的情報の支援、移動の援護、排泄・食事の介護など

行動援護
障害支援区分3以上で知的・精神障害により行動上著しい困難があり、常時介護を必要とする障害者・障害児を対象とした、行動の際に生じ得る危険回避のための援護や、外出時の移動の支援

短期入所(ショートステイ)

居宅においてその介護を行う者の疾病その他の理由により、障害者支援施設、児童福祉施設等への短期間の入所を必要とする障害者等につき、当該施設に短期間の入所をさせて、入浴、排せつ及び食事の介護その他の必要な支援を行う。

【対象者】
<福祉型(障害者支援施設等において実施)>

 (1) 障害支援区分が区分以上である障害者
 (2) 障害児に必要とされる支援の度合に応じて厚生労働大臣が定める区分における区分1以上に該当する障害児

<医療型(病院、診療所、介護老人保健施設において実施)>

 遷延性意識障害児・者、筋萎縮性側索硬化症等の運動ニューロン疾患の分類に属する疾患を有する者及び重症心身障害児・者 等

★細かく書いたが、障害支援区分1以上の知識程度で問題ない。

 

重度障害者等包括支援
重度障害者包括支援の対象者は、常時介護を要する障害者等であって、意思疎通を図ることに著しい支障があるもののうち、四肢の麻痺及び、寝たきり状態にある者並びに知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有するものである。具体的には障害支援区分が区分以上の者である。
居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、生活介護、短期入所、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、自立生活援助及び共同生活援助を包括的に提供する。

 

 

~日中活動系サービス(⑦⑧)~

療養介護
主として日中に病院などの施設で行われる機能訓練、療養上の管理、看護、医学的管理下での介護や日常生活上の援助など(18歳未満は児童福祉法に基づく施設給付の対象)。医療にかかるものを療養介護医療という。

療養介護の対象者は、病院等への長期の入院による医療的ケアに加え、常時の介護を必要とする以下の障害者である。
1.筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者等気管切開を伴う人工呼吸器による呼吸管理を行っているものであって、障害支援区分が区分の者

2.筋ジストロフィー患者又は、重症心身障害者であって、障害程度区分が区分以上の者

3.改正前の児童福祉法第43条に規定する重症心身障害児施設に入居した者又は、改正前の児童福祉法第7条第6項に規定する指定医療機関に入所した者であって、2012年4月1日以降指定療養介護事業所を利用する1.および2.以外の者←覚えなくてよい

生活介護
常時介護
を要する障害者を対象とした、主として日中に障害者支援施設などで行われる、入浴、排泄、食事の介護や、創作的活動または生産活動の機会の提供など(18歳未満は児童福祉法に基づく施設給付の対象)

 

 

~居住系サービス~

施設入所支援
施設入所者を対象とした、主として夜間に行われる、入浴、排泄、食事の介護など(18歳未満は児童福祉法に基づく施設給付の対象)

 

 

 

■訓練等給付費の支給対象となる障害福祉サービス(①~⑦)

日中活動系サービス(①~⑤)~

自立訓練
自立した日常生活や社会生活を営むことを目的とした、身体機能や生活能力の向上のための有期の訓練など

就労移行支援
一般企業への就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のための有期の訓練など

就労継続支援(A型)
一般企業等での就労が困難な人に、一定の支援がある職場で雇用して就労の機会を提供するとともに、能力などの向上のために必要な訓練を行う。障害者は雇用契約を結び給料をもらいながら利用し、一般就労を目指す。利用者には最低賃金以上。月平均68.691円(平成24年度全国平均)

就労継続支援(B型)
一般企業等での就労が困難な人に、就労する機会を提供するとともに、能力向上等のために必要な訓練を行う。通所して授産的な活動を行い、工賃をもらいながら利用する。障害者は就労の機会を得てA型、一般就労を目指す。利用者には授産施設平均工賃。月平均14,190円(平成24年度全国平均)。

※授産所…障害を抱えた人々を他より隔離された環境において雇用する事業所や団体

※授産活動…障害のある方々が、社会参加や就労という目的をもって、日中活動の中で取り組む、ものづくりや作業のこと。

 

★就労継続支援A型とB型の違い

A型事業とB型事業の主たる違いは雇用契約の有無、つまり事業者と利用者の雇用関係が成立しているかいないかという点である。A型事業の対象は「通常の事業所で雇用されることは困難だが、雇用契約に基づく就労が可能な方」であり、B型事業の対象は「通常の事業所で雇用されることは困難で、雇用契約に基づく就労も困難な方」ということになる。

 

就労定着支援
一般就労に移行した人に、就労に伴う生活面の課題に対応するための支援を行う。

 

~居住系サービス⑥⑦~

共同生活援助(グループホーム)
主として夜間や休日、共同生活を行う住居で、相談、入浴、排泄、食事の介護、日常生活の援助を行う。

自立生活援助
1人暮らしに必要な理解力・生活力等を補うため、定期的な居宅訪問や随時の対応により日常生活における課題を把握し、必要な支援を行う。

 

 

自立支援医療費

自立支援医療費は、育成医療・更生医療・精神通院医療に対して支給される。

育成医療
身体に障害のある児童またはそのまま放置すると将来障害を残すと認められる疾患がある児童が、その障害を除去・軽減する効果が期待できる手術等の治療を行う場合の医療費を一部公費負担する制度。18歳未満の児童が対象。

更生医療
身体障害者が日常生活、職業生活に適合するために、身体の機能障害を軽減または改善するための医療に関する助成制度。18歳以上の身体障害者手帳を交付された方で対象となる医療を受ける予定の方が対象。

精神痛医院医療
精神疾患はゆっくりと少しずつ安定、改善していく疾患が多く、治療が長期に及び場合が多い。長期的な通院は経済的な負担が多いため、この負担の軽減を目的としている。精神科の病院または診療所に入院しないで行われる治療(外来、投薬、デイケア、訪問看護等)の自己負担額を軽減できる。

 

 

 

2010(平成22)年の障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)の改正で、相談支援の充実としてこれまでの相談支援の定義の見直しが行われ、基本相談支援(相談、情報提供、助言、連絡調整等の便宜を総合的に供与する)、地域相談支援および計画相談支援の3つにわけられた。また、この改正で、相談支援体制の強化を目的とした基幹相談支援センターが設置された。基幹相談支援センターは地域における相談支援の中核的な役割を担い、相談支援事業、成年後見制度利用支援事業および身体障害者・知的障害者・精神障害者等にかかわる相談支援を総合的に行う。市町村またはその委託を受けたものが基幹相談支援センターを設置できる。

 

地域相談支援と計画相談支援

■地域相談支援
障害者支援施設に入所している障害者や精神科病院に入院している精神障害者などに対して、地域生活への意向に向けた支援を行うもので、地域移行支援地域定着支援の2つがある。

地域移行支援
障害者支援施設等に入所している障害者または精神科病院に入院している精神障害者等に対して、住居の確保や地域生活に移行するための活動に関する相談など

地域定着支援
居宅において単身で生活する障害者等に対して、24時間の連絡体制を確保し、障害の特性に起因して生じた緊急事態の際の相談など

 

計画相談支援
サービス利用支援
継続サービス利用支援の2つがある。

サービス利用支援
障害者の心身の状況などを勘案し、サービス等利用計画案を作成し、支給決定等が行われた後に、支給決定等の内容が反映されたサービス等利用計画の作成など

継続サービス利用支援:サービス等利用計画が適切であるかどうかを一定期間ごとに検証し、その結果等を勘案してサービス等利用計画の見直しを行い、サービス等利用計画の変更を行う など

介護サービス計画(ケアプラン)は、サービスや援助の方向性を決めるチーム全体の計画であり、ケアマネジャーが中心となって作成する場合がほとんどである。一方、介護計画(個別援助計画)はケアプランをもとに、利用者ひとりひとりに提供される援助内容を示すもので、介護福祉士や、訪問看護師などの各々の専門職が独自に具体的な援助方針や実施内容を作成する。
障害福祉サービスの分野でのケアプランに相当するものがサービス等利用計画で、相談支援専門員(ケアマネとは別の職種)が作成する。そして介護計画(個別援助計画)に相当するものが個別支援計画であり、サービス管理責任者が作成する。
サービス管理責任者とは所定の障害福祉サービスの提供に係るサービス管理を行う者を言う。 具体的には、利用者の個別支援計画の策定・評価、サービス提供のプロセス全体を管理する。 所定の障害福祉サービスを提供するには、サービス管理責任者を配置する必要がある。

 

一般相談支援事業と特定相談支援事業

一般相談支援事業基本相談支援に加え、地域相談支援も行う事業。

特定相談支援事業基本相談支援に加え、計画相談支援も行う事業。

 

 

■障害者の地域生活を支援するための事業として地域生活支援事業が法定化されている。地域生活支援事業には市町村地域生活支援事業都道府県地域生活支援事業がある。

■移動支援事業
市町村地域生活支援事業の移動支援事業とは、障害者等が円滑に外出することができるよう、障害者等の移動を支援する事業である。移動支援は、厚生労働省が地域の自治体に委託をした業務であり、地域の特性や利用者の状況・要望に応じて実施されている。そのため、支援の方法、外出先の範囲から負担費用に至るまで、地域によってサービスの詳細はさまざまである。

★上記の移動支援事業は障害者総合支援法に基づくものである。参考に介護保険法における移動支援(介護タクシー)をみておく。
介護タクシーとは 要介護者である利用者に対して、通院等のため、訪問介護事業所のヘルパーが自ら運転する車両への 乗車又は降車の介助を行うとともに、併せて、乗車前若しくは降車後の屋内外における移動等の介助又 は通院先若しくは外出先での受診等の手続き、移動等の介助を行うことをいう。位置づけとしては要介助者や身体が不自由な方が利用するタクシーということになる。ただし、介護タクシーとは「介護タクシー」という名称で法律上の扱いはない。介護タクシーは介護保険における訪問介護の一形態でありこの訪問介護のサービスの中にある「通院等のための乗車または降車の介助」が介護タクシーという扱いになっている。

介護保険を使う介護タクシーの利用対象は要介護1以上の方でケアプランに立案されれれば対象になる。すなわち要介護1~要介護5というだけでは対象にならず、介護タクシー利用の必要性が明確にされていなければ、利用対象にはならない。「希望者の日常生活に必要かどうか」という点がポイントとなり、娯楽については日常生活に必要不可欠とは言い難いため介護保険の対象にはならない。

 

■地域活動支援センター
市町村地域生活支援事業の地域活動支援センターとは、障害者等を通わせ、創作的活動または生産活動の機会の提供、社会との交流の促進その他の厚生労働省で定める便宜を図る施設である。

 

利用者負担
障害者総合支援法では障害福祉サービス等を利用した場合の負担については家計の負担能力に応じたもの(応能負担)を原則としている。

 

 

 

■障害福祉サービスの利用の流れ
障害福祉サービスは介護給付訓練等給付で申請の流れが異なる。介護給付を希望する場合は障害支援区分認定を受けることが必要になるからである。訓練給付では基本的に障害支援区分認定は不要であるが、共同生活援助(グループホーム)を利用する場合には、障害支援区分認定が必要になることがある。以下で介護給付の利用手続きを説明する。

1.申請
介護給付費等の支給を受けようとする障害者等は、市区町村申請を行う。

2.障害支援区分の認定

~ 一次判定 ~
80項目の認定調査項目医師意見書の一部の結果に基づき、コンピュータ判定が行われる。医師意見書とは、かかりつけ医に申請者の心身の状態、特別な医療などの意見を求めるもので市区町村が依頼する。

~ 二次判定 ~
一次判定の結果と状況調査、医師意見書などを踏まえ、市区町村審査会で二次判定が行われる。

~ 障害区分認定 ~
二次判定の結果に基づき、非該当区分1~6の認定が行われる。

 

3.サービス利用意向の聴取・サービス等利用計画案の提出
市区町村から計画案の提出が求められている場合は提出する。サービス利用計画案は指定特定相談支援事業者が作成するが、申請者自身による作成も可能である。

 

4.通知
障害区分や本人・家族の状況、利用意向、サービス等利用計画案などを踏まえてサービスの支給量などが決まり、支給決定が申請者に通知される。

 

5.サービス担当者会議
申請者が利用する全てのサービスの各担当者が出席し、利用者に合ったサービスを提案、サービス等利用計画の作成案が出し合われる。

 

6.最終的なサービス等利用計画の作成
サービス担当者会議での案をもとに、指定特定相談支援事業者がサービス等利用計画を作成する。利用計画は申請者自身による作成も可能である。

 

7.サービスの利用開始
申請者はサービス提供事業所と契約を結び、サービスの利用を開始する。サービスの量や内容については、利用開始後も一定期間ごとに確認が行われ、必要に応じて見直される

 

 

★障害児については、障害支援区分認定を行う必要がない。ただし、介助の必要性や障害の程度を把握するために5領域11項目の調査は行う。下図参照
※上図の内容は細かく覚える必要はない。参考までに。

 

 

 

◆障害者自立支援制度における組織、団体の機能と役割

 

■国の主な機能、役割
・自立支援給付や地域生活支援事業などの業務が適正か円滑に行われるよう、市町村と都道府県に必要な助言や情報の提供などを行わなければならない。

・障害福祉サービスや相談支援、地域生活支援事業の提供体制の確保に努めなければならない。

 

■都道府県の主な機能、役割
・自立支援給付と地域生活支援事業が適正かつ円滑に行われるよう、市町村に必要な助言や情報の提供などを行う。

・市町村と連携を図り、自立支援医療費の支給・地域生活支援事業を総合的に行う。

※自立支援医療費のうち、精神通院医療の実施主体は都道府県等で厚生医療・育成医療の実施主体は市区町村

・障害者等に関する相談と指導のうち、専門的な知識と技術が必要なものを行う。

・障害福祉サービス事業者などの指定または指定の取り消しを行う。

・介護給付費などの不服の審査請求に対して、それを取り扱う介護保険審査会を置く。

 

 

■市区町村の主な機能、役割
・自立支援給付と地域生活支援事業を総合的かつ計画的に行う。

・障害者等の福祉に関して、情報の提供、相談、調査、指導などを行う。

・意思疎通支援や虐待の防止と早期発見などに関する援助を行う。

・給付の審査判定業務を行わせるため、市町村審査会(障害支援区分の二次判定を行う)を置く。市町村審査会は、障害支援区分の審査及び判定を行うにあたり、必要があると認められる場合、障害者本人、家族、医師などの意見を聴くことができる。

・給付の支給決定支給を行う。

・障害福祉サービス事業者等への支払いに関する事務を、国民健康保険団体連合会に委託できる。

基幹相談支援センターを設置できる。

 

障害者総合支援法が定める「協議会」

第八十九条の三
地方公共団体は、単独で又は共同して、障害者等への支援の体制の整備を図るため、関係機関、関係団体並びに障害者等及びその家族並びに障害者等の福祉、医療、教育又は雇用に関連する職務に従事する者その他の関係者(次項において「関係機関等」という。)により構成される協議会を置くように努めなければならない。

前項の協議会は、関係機関等が相互の連絡を図ることにより、地域における障害者等への支援体制に関する課題について情報を共有し、関係機関等の連携の緊密化を図るとともに、地域の実情に応じた体制の整備について協議を行うものとする。
 

■厚生労働大臣(国)は、障害福祉サービス・地域生活支援事業の提供体制の整備と円滑な実施を確保するための基本指針を定め、これに即して市町村市町村障害福祉計画を、都道府県都道府県障害福祉計画を定める。
市町村と都道府県障害福祉計画の作成・変更において、協議会の意見を聴くように努めなければならない。協議会は、市町村と都道府県が設置するよう努めなければならないものである。

 

■指定障害福祉サービス事業者と指定障害者支援施設

指定障害福祉サービス事業者指定障害者支援施設は、都道府県知事が指定を行う。都道府県障害福祉計画の達成に支障が生ずるおそれがある場合は指定しないことができる。指定の更新は、6年ごとにうけなければならない。提供する障害福祉サービスの質の評価を行う事とその他の措置を講ずることにより、障害福祉サービスの質の向上に努めなければならない。また、人員・設備・運営の基準については、都道府県の条例で定められている。

 

 

 

◆障害者に対するその他の施策

 

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)
この法律は2013(平成25)年に成立。障害を理由とする差別の解消を推進することにより、すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指すことを目的とし、差別の解消の推進に関する基本方針、行政機関や事業者における障害を理由とする差別解消措置などを定めている。(施行は2016(平成28)年)
また、この法律では、国の行政機関や地方公共団体などに不当な差別的取り扱いを禁止し、社会的障壁の除去についても必要かつ合理的な配慮を求めている。また、民間事業者にも、不当な差別的取り扱いを禁止し、社会的障壁の除去については必要かつ合理的な配慮をするように努めることを求めている。

 

国の行政機関及び地方公共団体など

民間事業者

不当な差別的取り扱い

禁止

禁止

社会的障壁の除去についての必要かつ合理的な配慮

義務

努力義務

必要かつ合理的配慮の具体例を以下に示しておく。

・車いすの社員のために段差に携帯スロープを渡す。

・視覚障害者のために資料を拡大文字や点字によって作成したり、資料の内容を読み上げて伝えたりする。

・障害の特性に応じた休憩時間の調整などのルール・慣行の柔軟な変更を行う。

 

 

■身体障害者更生相談所
身体障害者福祉法に規定され、身体障害者の更生援護の利便のため、また市町村の援護の適切な実施の支援のため、都道府県に設けなければならない。設置主体は都道府県と政令指定都市であるが、政令指定都市は任意である。

 

 

5.介護実践に関連する諸制度

 

◆個人の権利を守る制度の概要

 

 

■個人情報保護に関する制度

2003(平成15)年、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)が制定された。同法では、個人情報取扱事業者は個人情報を取り扱う場合、利用目的をできる限り特定しなければならず、特定の範囲を超える場合にはあらかじめ本人の同意を得なければならないと規定されている。

個人情報保護法において個人情報取扱事業者とは、個人情報データベース等を事業に活用している者をいう。ただし、①国の期間、②地方公共団体、③独立行政法人等、④地方独立行政法人、⑤その取り扱う個人情報の量および利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれが少ないものとして精霊で定める者は除かれる。

個人所法保護法において個人情報とは、「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう」とされている。

個人情報保護法を守る義務のある事業者は過去6か月間継続して5000人を超える個人データを取り扱う民間事業者を指す。私立病院、私立学校、NPO法人なども含む。

医療・介護・福祉関係事業者に対する具体的な個人情報保護のために、厚生労働省は、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイドライン」「福祉分野における個人情報保護に関するガイドライン」などを策定している。

 

■成年後見制度
従来、判断能力が不十分なための制度には「禁治産・準禁治産者宣告制度」があった。これは判断能力が不十分な方を「禁治産者」として、財産管理などを制限していた。しかし、禁治産者になるとその事実が公示され、本人の戸籍に記載されるため、社会的な偏見や差別を生む等の問題があった。

成年後見制度2000(平成12)年、障害のある方も家庭や地域で暮らせる社会にしようというノーマライゼーション、本人の残存能力の活用、自己決定の尊重の理念のもと、本人の財産と権利を守るために、介護保険制度とともにスタートした。

成年後見制度法定後見制度任意後見制度からなる(下図参照)。法定後見制度は、法律の定めによる後見制度をいう。任意後見制度は、契約による後見の制度である。いずれの制度を利用するかは本人の選択による。

法定後見制度

法定後見制度は、すでに判断能力が不十分な状態になっている認知症高齢者・知的障害者・精神障害者等が対象であるが、対象者の判断能力の程度に応じて、後見保佐、または補助のうちいずれかを選択して制度を利用する。下表は細かく覚える必要はない。参考程度に。

法定後見制度では、①家族等一定の請求権者(本人、配偶者、四親等内の親族)が家庭裁判所へ後見開始の審判を申し立て、②家庭裁判所による審査を経たうえで、家庭裁判所が判断能力の低下・喪失した者を成年被後見人、被保佐人および被補助人と審判し、成年後見人、保佐人、補助人が選任される。

成年後見人等には、本人の親族以外にも、法律・福祉の専門家その他の第三者や、福祉関係の法人が選ばれる場合がある。成年後見人等を複数選ぶことも可能である。

成年後見人等の仕事は、財産管理身上監護にかかわる法律行為を代理したり、同意したり取り消したりすることである。食事や入浴等の世話、手術の方法の決定、亡くなった後の引き取りなどは身上配慮義務に当たらず、成年後見人等の本来の仕事ではないとされる。

身上監護:
身上監護とは、被後見人が適切に生活できるように、介護保険や病院などの「身の上」の手続きをすること。成年後見人が行う身上監護は多岐にわたりますが、主に次にようなものがある。

・病院に関する手続き
・介護保険に関する手続き
・施設入所や施設退所に関する手続き
・教育やリハビリに関する手続き
・住居の確保に関する手続き

これらの身上監護はあくまで法律行為であって、介護などを行う必要はない。親族ならば買い物の付き添いや身の回りの世話をすることはあるが、これらは成年後見人としての身上監護には含まれない。

 

■任意後見制度

本人が契約締結に必要な判断力を有している間に、加齢等に伴う判断能力の低下・喪失に備え、事前に自己の身辺介護や財産管理を支援する任意後見人自ら選んでおく制度をいう。

任意後見契約は、本人と任意後見人との間で公証人の作成する公正証書によって締結される。本人の判断能力が低下・喪失した場合には、本人・配偶者・四親等内の親族あるいは任意後見受任者の家庭裁判所への申立により、任意後見監督人を家庭裁判所が選任し、その時から任意後見契約は効力を発揮することとなる。

任意後見人の事務は、生活療養看護または財産管理に関する法律行為である。
任意後見人の資格に、特に法律上の制限はなく、誰を後見人に選任するかは、本人の自由な選択による。また、個人に限らず、公益法人等でもよい。

成年後見に伴う鑑定料、登記料、成年後見人への報酬等については、成年後見制度利用支援事業により国庫補助を行う制度がある。この制度は、高齢者については地域支援事業障害者については地域生活支援事業として実施される。

 

 

■日常生活自立支援事業

日常生活自立支援事業は、認知症や知的障害、精神障害等により日常生活を営むのに支障がある人で、この事業の契約内容について判断し得る能力をもつ人に対して、無料または低額な料金で、福祉サービスの利用に関する相談、助言、必要な手続き、費用の支払いに関する便宜供与、その他の福祉サービスの適切な利用のための一連の援助を一体的に行うものである。実施主体は都道府県社会福祉協議会または指定都市社会福祉協議会(窓口業務等は市町村社会福祉協議会等で実施)


日常生活自立支援事業と成年後見制度との関係

認知症高齢者、知的障害者、精神障害者などで、判断の能力が不十分な方に対する援助方法は日常生活自立支援事業成年後見制度の二つがある。
この2つの制度はよく似ているが、「日常生活自立支援事業」は、本人との契約に基づいて、福祉サービスの利用援助や日常的な金銭等の管理に限定していることに対して、「成年後見制度」は、財産管理や福祉施設の入退所など生活全般の支援(身上監護)に関する契約等の法律行為を援助することができる。ケースによっては2つの制度を併用する場合もある

 

内容

具体例

日常生活自立支援事業でできること

日常的な生活援助の範囲内での支援

○福祉サービスの利用の申し込み、契約手続きの援助など

○日常生活に必要なお金の出し入れなど

成年後見制度でできること

財産管理や身上監護に関する契約等の法律行為全般

○施設への入退所契約、治療・入院契約など

○不動産の売却や遺産分割、消費者被害の取り消しなど

引用:https://www.mkensha.or.jp/anshin/seido.html

 

 

経済連携協定(EPA)に基づく外国人介護福祉士候補者の受入れ

■目的
日本と相手国の経済上の連携を強化する観点から、公的な枠組みで特例的に行うもの。労働力不足への対応が目的ではない。日本の介護施設で就労・研修をしながら、日本の介護福祉士資格の取得を目指す。介護福祉士候補者の受入れは、2008年度(平成20年度)から始まった。

■受入れ国
インドネシア共和国、フィリピン共和国、ベトナム

■在留期間
資格取得前は最大年間で年1回更新。(資格取得後は在留資格の更新回数の制限なし。協定上定められた在留期間中に国家資格を取得できなかった者は帰国する。滞在中の在留資格は「特定活動」。

要件 ・候補者 
看護学校卒業者 又は 四大卒業者(インドネシアの場合には3年以上の高等教育機関卒業者)であり母国での介護士資格認定者

■受入施設 
①定員30名以上の介護施設であること
②介護職員数(候補者を除く)が法令に基づく配置基準を満たすこと
③常勤介護職員の割以上が介護福祉士有資格者であること
④候補者に対して日本人と同等以上の報酬を支払うこと
⑤適切な研修体制を確保すること 等

 

◆介護と関連領域との連携に必要な法規

 

 

■医療法
医療法は、医療機能の分化・連携を推進して、切れ目のない医療を提供し、在宅医療の充実を図ることを目的とする法律である。
医療法には医療施設に関する規定(病院種別の定義、人員配置基準等)があり、病院、診療所、助産所の開設および管理に関して必要な事項を規定している。

 

■病院
病院は、医師または歯科医師が、公衆または特定多数人のために医業・歯科医業を行う場所として規定されている。わが国では20人以上の患者を入院させる施設(病床数20床以上)が病院とされ、病床数により区別される。

 

■診療所
診療所は、医療法において、医師または歯科医師が、公衆または特定多数人のために医業・歯科医業を行う場所であって、患者を入院させるための施設を有しないもの(無床診療所)または19人以下の患者を入院させるための施設を有するもの(有床診療所)をいうとされている。

 

■病床の種別

精神病床
精神疾患を有する者を入院させるためのもの

感染症病床
感染症法に規定する一類感染症、二塁感染症(結核を除く)、新型インフルエンザ等感染症および指定感染症の患者(患者とみなされる者)、新感染症の所見がある者を入院させるためのもの

結核病床
結核の患者を入院させるためのもの

療養病床
長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるためのもの

一般病床
①~④の病床以外のもの

 

■特定機能病院
高度の医療を提供する能力、②高度の医療技術の開発および評価を行う能力、③高度の医療に関する研修を行わせる能力があること、などの要件に該当する病院で、400人以上の患者を入院させるための施設を有する病院である。厚生労働大臣により承認される。

 

■地域医療支援病院
地域の他の医療機関を支援することを目的としている。①ほかの病院の医療従事者の診療、研究、研修のための体制が整備されていること、②救急医療を提供する能力があること、③地域の医療従事者の資質の向上を図るための研修を行わせる能力があること、などの要件に該当する病院が、都道府県知事により承認される。

 

 

■在宅療養支援診療所
2006(平成18)年の診療報酬の改定によって新たに設けられた、24時間体制で往診や訪問看護が可能な診療所である。2012(平成24)年の改定で、常勤医師3名以上配置などの要件を満たす機能強化型の在宅療養支援診療所・病院も創設されている。

 

 

介護保険と障害福祉の適用関係(介護保険の被保険者である障害者から障害福祉サービスの利用に係る支給申請があった場合等)

社会保障制度の原則である保険優先の考え方の下、サービス内容や機能から、障害福祉サービスに相当する介護保険サービスがある場合は、原則介護保険サービスに係る保険給付を優先して受けることになる
しかし、一律に介護保険サービスを優先的に利用するものではなく、申請者の個別の状況に応じ、申請者が必要としている支援内容を介護保険サービスにより受けることが可能かを判断する。したがって市町村は申請に係る障害福祉サービスの利用に関する具体的な内容(利用意向)を聴き取りにより把握した上で、申請者が必要としている支援内容を介護保険サービスにより受けることが可能か否かを適切に判断しなければならない。

 

◆生活保護制度等の概要

 

■生活保護の基本原理・原則
生活保護は、国家責任を前提として、以下の4つの原理、4つの原則に基づき、資力調査を要件として要否が決定され、実施される。

国家責任の原理
国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長する。

無差別平等の原理
すべての国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護を、無差別平等に受けることができる。

最低生活保障の原理
この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。

保護の補足性の原理
保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。
民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。

※少しわかりやすくすると、生活保護はあくまで補足として適用されるものであり、生活困難者は自分でできることはすべて行い、それでも自立が難しい場合に初めて保護を適用するという原則。

申請保護の原則
保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基づいて開始するものとする。ただし、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行う事ができる。

 

基準及び程度の原則
保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行う者とする。
この基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たす十分なものであって、かつ、これをこえないものでなければならない。

 

必要即応の原則
保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効かつ適切に行うものとする。

 

世帯単位の原則
保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする。ただし、これによりがたいときは、個人を単位として定めることができる。

 

 

■生活保護の種類

生活扶助
飲食者費、被服費、光熱水費など、日常生活の需要を満たすものや移送のための費用など。一か月分以内を世帯主またはこれに準ずる者に前渡しをすることを原則とする。第1類の経費(飲食費、被服費等の個人的経費)、第2類の経費(光熱水費などの世帯共通費的軽費)、入院患者日用品費、介護施設入所者基本生活費、各種加算、期末一時扶助費、一時扶助費からなる。1984(昭和59)年以降、水準均衡方式で行われている。原則金銭給付である。

※水準均衡方式…一般国民の生活水準の変動に即して基準の改定を行う方式。

 

教育扶助
学校給食費通学交通費、教材費、学習支援費など。保護金品は被保護者、その親権者もしくは未成年後見人または通学する学校の長に交付される。原則として金銭給付だが、現物給付も認められる。

住宅扶助
家賃、住宅維持費など。所在地域別等に定められた基準額の範囲内で支給される。金銭給付ができないときまたは適当でないときは、住宅の現物給付宿所提供施設で行う。

※宿所提供施設:生活保護法に基づく保護施設である。様々な理由で住居を失った生活保護を受給する家族、単身世帯を対象に、住居(居室)を提供し、地域社会復帰に向けた相談、支援を行う施設である。
参考URL http://tswa-swc.or.jp/outline/business/lodging.html

 

医療扶助
最低生活に必要な診察、薬剤、治療材料、医学的処置、手術等の治療、看護、移送など。
国民健康保険および後期高齢者医療の診療方針・診療報酬の例による。医療扶助を受ける者は、福祉事務所医療券を発行してもらい指定医療機関に提示して診療などを受ける。

 

介護扶助
最低生活に必要な居宅介護、介護予防、福祉用具、住宅改修、施設介護、移送など。
介護保険法に規定する要介護状態または要支援状態にある被保護者に対して、介護券(介護扶助の対象であることおよび本人支払額を証明する書類)により現物給付(国、都道府県知事が指定する介護機関に委託)することを原則とするが、原則によりがたい場合には金銭給付もできる。なお、補足性の原理により介護保険の保険給付が保護に優先し、その場合は自己負担部分が保護費の給付対象となる。

 

出産扶助
助産、分娩に伴って必要となる一定額範囲内の費用、ガーゼ等衛生材料費など。病院等の施設において分娩する場合には、入院料も支給される(医療扶助ではない。)

 

生業扶助
次のようなものがある
・生業費
生計の維持を目的とする小規模の事業を営むための資金または生業を行うための器具、資料代

・技能習得費
生計の維持に役立つ生業に就くために必要な技能を習得する経費

・就職支度費
就職のため直接必要とする洋服類、履物等の購入費用

施設の併用または技能の授与のために必要な金品は、授産施設の長に対して交付できる。

 

葬祭扶助
遺体の検案、運搬、火葬、埋葬などの費用。
保護をうけている者が死亡し、扶養義務者がいない場合や死亡者遺留品では葬祭が行えない場合等に必要な経費を葬祭を行う者に金銭給付する。

 

 

生活困窮者自立支援法
生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図るための法律(2013(平成25)年に成立、施行は2015(平成27)年)。

第一条(目的) 
この法律は、生活困窮者自立相談支援事業の実施、生活困窮者住居確保給付金の支給その他の生活困窮者に対する自立の支援に関する措置を講ずることにより、生活困窮者の自立の促進を図ることを目的とする。

★この法律では生活困窮者自立相談支援事業生活困窮者住居確保給付金の2事業は行われなければならない必須事業としている。その他の事業(一時生活支援事業、家計相談支援事業など)については、地域の実情に応じて実施する任意事業とされています。

生活困窮者自立相談支援事業:
生活困窮者からの相談に早期かつ包括的に応ずる相談窓口となる。ここでは、生活困窮者の抱えている課題を適切に評価・分析(アセスメント)し、その課題を踏まえた「自立支援計画」を作成するなどの支援を行う。また、関係機関との連絡調整や支援の実施状況の確認なども行う。

生活困窮者住居確保給付金:
離職により住居を失った生活困窮者等に対し、家賃相当を有期で支給する。

第二条(基本理念) 
生活困窮者に対する自立の支援は、生活困窮者の尊厳の保持を図りつつ、生活困窮者の就労の状況、心身の状況、地域社会からの孤立の状況その他の状況に応じて、包括的かつ早期に行われなければならない。